本記事は、「購買・調達改革を成功させるための8つのヒント」を元に作成した記事です。

購買・調達による支出が数百万ドルを超え、従業員が世界で数千人規模の組織において、購買・調達改革とは何を意味し、どのようにして推進していくべきでしょうか?

近年の購買・調達改革の目標は、コスト削減や業務の最適化だけではありません。企業が購買・調達部門の改革を進める中で、競合他社よりもビジネスに革新を与え、戦略的な改革を推進する事例が増えています。

重要なポイントは、業務プロセスとオペレーションモデルの再構築を実現する新しいテクノロジーを短期間で導入することです。

Coupaが主催する年次イベント「Coupa Inspire」では、KPMGの購買・調達責任者であるDipan Karumsi氏と、プログラムマネージャーJaclyn Slotman氏からCoupaの導入実績について説明がありました。

数多くのグローバル企業に対してCoupaの導入を支援し、その導入実績を通じて、プロセス最適化の設計、オペレーションモデルの構築を実施してきました。

導入を進める上でのチェンジマネジメントについて、8つの重要なヒントがあります。内容は以下の通りです。

1.並行して開発を行う
オペレーションモデル、テクノロジー、P2P(購買から支払いまで)のエンド・ツー・エンドプロセスの変更を進める際、どこから着手すべきかわからないことがあります。
より早く成果に繋げるためには、これらの課題を並行して進める必要があります。

テクノロジーだけでなく、プロセスと組織についても同時に検討し、3つの要素を含めた意思決定ができるように提案します。

そのためには、技術者やお客様側のステークホルダーと連携し、各コンポーネントを把握しながら、全員が連動して動けるようにする必要があります。

2.One menu, many cooks 
購買・調達改革の目的のひとつは、標準化、統一されたグローバルな購買プロセスを、ひとつのプラットフォーム上で実現することです。

レストランを例に挙げてみると、たとえ提供するメニューが1つだけだったとしても、入店から食事、会計に至るまで、食事体験を提供するために料理以外にも複数の役割、機能が存在します。

購買・調達においても同様に、統合された購買体験を実現するためには、調達、法務、リスク、財務部門などが一丸となり必要な見解を示す役割となります。

3.センター・オブ・エクセレンスの構築
多くのグローバル企業は、M&Aや新規市場への進出によって成長し、最終的には地域やビジネスユニットが複雑に重なり合う構造になっています。

そのため、数百万ドル規模の購買プロジェクトを担当する購買・調達担当者と、5万ドル規模の商品取引を担当する購買・調達担当者が混在する企業も数多く存在します。

ソーシング(調達)のセンター・オブ・エクセレンス(CoE)は、調達担当が自身の担当するカテゴリーにおける戦略的な調達とサプライヤー管理に注力できるよう支援する機能を担います。

このCoEチームはスケールの拡大と重複業務の排除・統合を目的に、たとえば地域やビジネスユニットごとに形成することができるでしょう。

4.プレイブックとブートキャンプ研修
グローバル企業の導入プロジェクトを進める上では、詳細をまとめた資料とトレーニングが必要です。プレイブックは、日々の仕事を進めるために必要な、各ロールの役割と任務について記載しており、導入文書を作成する際に役立ちます。

ブートキャンプ研修では、世界中の購買・調達部門担当者が集まり、新しいプロセスを確認します。ブートキャンプ研修はチームビルディングのチャンスでもあり、新しいビジョンのもとに全員で目標達成に向けての意識確認をする場でもあります。

5.ユーザビリティーテスト
プレイブックの配布やブートキャンプ研修を実施しても、大きな組織の中でプロジェクト現場の状況を把握することは難しいでしょう。

システムのシナリオテストに社内の各部門から人員を起用することで、様々な部門がシステム導入の取り組みを実際に経験でき、これは実装後の運用フェーズでも非常に役立ちます。

6.本稼働までの時間を短縮する
改革に向けた目標のひとつは、業務の処理時間を短縮することですが、最終的には本稼働までの期間をなるべく短くすることも重要です。

新しいオペレーションモデルを設計していく上で、購買・調達の業務プロセス短縮が、バックエンド側の価値向上に直結していることを部門全員が理解する必要があります。

Coupa上で承認ワークフローとプロセスが可視化されることで、プロセスのボトルネックを特定できます。現実的で予測可能なSLA(サービス品質保証)を作成するためにも、各プロセスの合理化を検討する必要があります。

7.サービス調達の標準化
サービスをより効率的に調達し、管理する方法について検討する企業が増えています。ERPのデータや個々のSOWを検索するのではなく、様々な種類のサービスについて標準化されたフォームを作成し、カテゴリーごとに情報を収集し、優先サプライヤーを選択、そしてシステムにフォームを取り入れていきます。

例えば、違った部門の担当者が、同じサービスを発注する場合でも、同じ標準のフォームを使い、同じカテゴリーグループから選択し、最終的な社内プロセスも、同じ承認担当者(リスクマネジメント、法務担当者)の承認プロセスを通ります。

これにより、実作業が迅速かつ容易になり、バックエンドではコストが予測可能となり、この発注からデータも蓄積されます。

8.ローカライズの高速化
企業の成長過程において、長期間の停止はあり得ません。そのため、グローバルに規模を拡大しても、組織のコントロールとひとつのビジョンを維持する力はとても重要です。同時に、新しい市場、部門、カテゴリー、組織を迅速にシステムに取り込むことも必要です。

新しい国、新しい買取先、あるいは新しい市場に導入展開する際も、過去の導入手順を無視して、全く新しい手順で進めるべきではありません。そこで重要なのが、テクノロジーのコンフィグ設定の柔軟性です。

KPMGでは、システム内の「ビッグ5」を確立しており、システムにログインしすぐに使えるため、新たに再設定する必要はありません。

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キャリアチャンスの創出
購買・調達部門のオペレーションを簡素化することで「PO(注文書)の作成方法は?」「請求書の支払い期限は?」などといったオペレーションによる混乱を削減できます。

煩雑だった日々のオペレーションを改善することで、サプライヤーの管理、品目購買の策定、革新的で多様性のあるサプライヤーを選定するなど、戦略的な業務に時間と人員を投入することができます。

企業にとってはビジネスチャンス、社員にとってはキャリアチャンスの創出になります。CoEの実現でジュニアレベルの社員が購買・調達のリーダーポジションに昇格したり、調達担当者が部門マネージャーに就任するなど、社員にとってもキャリアの幅が広がります。

このような改革を検討している企業にとって理解すべきポイントは、購買戦略や業務において全ての部分を改良する必要はないということです。

改革自体は、日々の改善と修正が発生していくものであり、現代のテクノロジーであれば、より柔軟にPDCAを回して改善を進めることができます。

だからこそ、最初から完璧な改革を追及すべきではありません。自社にとって適切なパートナーを見つけ、改革を推進していくべきです。

KPMGは世界でも有数のプロフェッショナルサービス企業です。KPMGは、全世界の75カ国以上で50件以上のCoupaの導入プロジェクトに携わってきました。Dipan Karumsi氏は、KPMGのプリンシパルで、米国のProcurement Advisory Practiceをリードしています。Jaclyn Slotman氏は、KPMGの購買・調達のアドバイザリー・プラクティスのマネージャーです。

上記で紹介した内容は、サービスの一部であり、詳細についてはKPMGの監査`顧客、また関連会社と関連団体のからの許可を必要とします。

ここで解説している内容と情報は一般的な例を挙げており、特定の個人や企業の状況を解説したものではありません。

当社は、正確かつタイムリーな情報を提供するよう努めていますが、これらの情報が将来的にも正確とは限らないため、自社の状況や市場を十分に検討した上で、適切な専門家やコンサルタントにご相談することをお勧めします。

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