本記事は、「ビジネス支出インデックスを再設計する」を元に作成した記事です。
「Coupaのビジネス支出インデックス (BSI) は、景気低迷を予測できるのか?」の記事で、Coupaのビジネス支出インデックス(BSI: Business Spend Index)について紹介してから、米国経済と経済界に大きな変化がありました。
この経済的な混乱により、私たちはBSIのモデルを改良し、再設計しました。私たちのコミュニティが、この不透明な時代でも意思決定を進め、より優れたソリューションと強力なインサイトを提供していくためにも、改良された新しいメソトロジーに基づいてBSIを再始動していきます。
私はCoupaのエコノミストとして、最も仕事のやりがいを感じる瞬間のひとつとして、Coupa独自の高品質なビジネス支出データにアクセスでき、そしてその高品質のデータをお客様に提供できることです。
最終的には、支出は需要を意味しています。
BSIは、Coupaのプラットフォーム上で年間数十億ドルのビジネス支出データが匿名で集約されることで成り立っています。
このデータは、世界中の企業の過去、現在、そして計画中の支出についても保有し、唯一無地のデータを提供します。これにより、経済や産業界に影響を与える大きなトレンドについても予測し備えることができます。
支出は需要を意味する。
Coupaが成長を続け、世界中で利用する顧客が増えるにつれ、我々のデータはより強化され、四半期ごとに充実した分析データを提供することが可能になります。私のようなエコノミストが経済について根拠あるコメントができるのは、一貫した高品質のデータにアクセスできるからです。
BSIは、企業の支出意欲に基づき、景況感や将来の経済機会を予測する指標です。支出活動が集約されたインサイトを分析することで、ビジネスリーダーが戦略的な意思決定を行い、その価値をビジネス戦略に還元できるよう支援します。
BSIから何を学び、ビジネスに役立てるか?
CpupaはCoupa BSI, Q2 2021 Outlook Reportを発表し、多くの企業がCoupa導入の背景には、好調なビジネスへの信頼が、購買活動の意欲を向上させていると強調しました。
米国の経済生産規模は「正常」な状態に回復しつつあるように見えますが、BSIは、経済が完全に回復するまでには程遠いことを示しており、地域や産業によって大きな違いがあると予測しています。
私自身もビジネスリーダーとして、注目しているポイントをいくつかご紹介します。
- 労働力の供給と需要:次の四半期には、米国の労働力需要がパンデミック前の水準に戻ることから、労働者不足への懸念が高まることが予想されます。これは、前四半期には想像できなかったことですが、サービス業やヘルスケア産業ではすでに発生しています。
- 商品価格の回復:米国では、景気が回復して経済活動が活発になるにつれ、すでに鉄鋼や木材の価格が急騰しています。
- グローバル・サプライ・チェーンの回復:パンデミックが発生した時、世界のサプライチェーンは大きな影響を受けました。私たちは、Coupaのサプライヤーネットワークを通じて商品の流れを監視し、オンショアリングやニアショアリングの増加について観察しています。
世界中の企業にとって、需要の増加は価格上昇の問題となり、営業利益や投資に直接影響を与えます。現在、世界のサプライチェーンは、パンデミックやスエズ運河の閉塞などによる複数の問題から未だに回復途中であり、その問題はさらに大きくなっています。
しかし、中期的な影響は明らかになっていません。物価の上昇は、労働力の増加を促進し、グローバルサプライチェーン改善の可能性があります。私たちは皆、どれくらいの速度で正常な状態に戻れるのか、また、正常な状態の基準値については不明確であり疑問を抱いています。市場がいかに早く適応するかが、改善の鍵となるでしょう。
BSIを支える新モデルの魅力に迫る
Coupaは、この度BSIのメソトロジーを改良しました。独自のアルゴリズムを用いて、モデルの予測精度を最大限にする13の支出変数を考慮しています。これらの変数は、予測される景況感を定量化する3つのグループまたは、「ファクター」にまとめられています - Search(検索)、Order(発注)、Pay(支払)です。その3つの要因の詳細は以下の通りです。
- 検索:ビジネス・スペンド・マネジメントプロセスの初期段階の活動を測定する一連のインプット。例えば、企業の未来のビジネスチャンスに対する意欲の向上と低下を示す購買調達活動の測定値が含まれます。
- 発注:発注書の作成を測定するインプットで、支出へのコミットメントを表します。「発注」には発注金額と発注数量の両方が含まれ、景気に対する信用度の高まりと向上の関係があります。
支払:請求書や経費金額を測定する入力項目。「支払」は、発生した支出に関連する取引額で構成されます。これには出張費も含まれ、景況感の変化に大きく影響されます。
これらの要素は、企業がどのように支出を管理するかというエンド・ツー・エンドの戦略に対して独自の可視性をもたらし、目的から始まり、実際にどのように経費が使用されたかまでのデータを提供します。
では、その情報源は何でしょうか?それは、2020年11月にCoupaがLLamasoftを買収したことで、私たちの最新のメソドロジーと分析モデルが大きく発展したことが要因といえます。
現在はCoupaの一員となったことで、Coupaのサプライチェーンデザイン&プランニングのデマンドモデラー技術と、安定したモデリングとAI機能に取り組む150人のデータサイエンティストからなる世界トップクラスのチームが組み合わさることで、BSIのアルゴリズムを迅速に改良することが可能になりました。
その結果、Coupa BSIは今後も継続してスピーディーな対応で、四半期ごとにBSIの改良、予測期間の延長、またCoupaコミュニティ内のビジネス意思決定責任者により高い価値か提供することができます。
What's Next:経済の加速化に向けて
不確定な状況を回避するには、ビジネスの俊敏性を高める必要があります。包括的なビジネス・スペンド・マネジメントプラットフォームの導入で、企業はすべての支出をリアルタイムで可視化、管理することができるようになります。
Coupaのお客様は、経済の早期警告サインを示すことができる独自のコミュニティデータやインサイトへのアクセスの恩恵を受け、企業は十分な情報を得た上で意思決定を行い、より正確な需要予測計画に基づいて成果を上げることができます。
Coupaが集約した業界やカテゴリーレベルのインサイトは、ほんの一部に過ぎません。Coupaのコミュニティに参加し、企業の実績を提示することで支出から最大の価値を創出し、そのデータを最大限に活用していくことができます。
最新のビジネス・スペンド・インデックスのデータとそのメソトロジーについては、こちらのレポート(英語)をご覧ください。