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アビームコンサルティングが提案する、日系企業の強みを活かすサステナブル調達

近年の地政学的リスクや自然災害といった外部環境の変化に対応していくためには、サステナブルな調達が求められます。

2025年7月29日に開催されたCoupa主催のイベント「Inspire World Tour Tokyo〜持続的成長を実現する支出変革とAI活用の未来〜」に、アビームコンサルティング株式会社(以下、アビームコンサルティング)のエンタープライズトランスフォーメーションビジネスユニット Value Chain Excellenceセクター マネージャーの岡野淳志氏が登壇。自動車部品会社での調達経験を持つ岡野氏に、現場とコンサルタントの視点から、日系企業が目指すべきサステナブル調達について講演していただきました。

調達部門を進化させて外部環境の変化に対応

岡野氏はまず、地政学リスクやSDGs、生成AI、インフレといった外部環境の変化を挙げ、その一つひとつが企業の経営に直結する重要な課題になっていると指摘。「もはや従来のコスト削減や納期管理などでは対応できず、調達部門が経営に貢献する戦略部門として進化し、企業の持続的な成長を支えていく必要がある」と主張します。

岡野氏は、売上高1,000億円以上の日系企業およびグローバル企業、計100社以上の調達・SCM領域のCxOや管理者を対象にしたアンケート結果を紹介。調達途絶を引き起こすようなリスクへの関心が高いことを示し、ESG対応やBCP策定などにもつながるリスクへの備えの有無が、調達部門の信頼性と持続可能性を左右するといいます。

一方で同アンケート調査によれば、サプライチェーンリスク対応に1億円以上の投資を実施または想定している企業は29%にとどまるなど、実際の投資には慎重な傾向がみられます。

さらに、ある調達部門の年齢構造は約半数が50代・60代で若手が少なく、「サプライチェーンリスク対応への投資や人材採用が追いついていないというギャップが、調達部門の進化を阻む最大の壁」と岡野氏は指摘します。

日系企業独自の強みの継承と進化が改革の成否を分ける

外部環境が変化する状況下で変革への外圧がかかると、つい手段が目的化しがちだと注意を促す岡野氏。「『グローバルスタンダード』や『調達DX』といったキーワードに飛びつく前に一度立ち止まり、日系企業が育んできた独自性や競争力とは何かを考え、それを生かしていくことが持続的な変革につながります」と主張します。

岡野氏は、自身の経験を通じて感じた日系企業の強みを2点紹介します。
 

  1. 価格競争に偏らず「共存共栄」を重視したサプライヤー関係構築と、現地・現物・現認に立脚した現場主導の課題解決力
  2. 「迷惑をかけない」という価値観に由来する自工程完結や品質を源流で作り込む文化

現場に根付いた文化や慣習は日系企業の強みであると同時に、時には変化への抵抗となって改革のスピードを鈍らせてしまうのではないかと岡野氏は懸念。日系企業独自の強みが足かせとなって生じうる課題を解説します。

①組織とプロセス面での課題
各事業部が独自に業務改善を行ってきたため、現行業務からの脱却に消極的。業務プロセスも統一されていないことから要件がまとまらず肥大化し、標準化が進まない。

②人材とITデータ面での課題
業務が属人化しているため、ベテランの退職で調達ノウハウが失われるリスクがあるほか、マニュアル化・形式知化の遅れで若手の育成にも時間がかかる。各事業部や品目ごとに独自のシステムが乱立し、データが分断されていて必要な情報が必要な時に取り出せない。

このような課題を抱えた状態では日々変わり続ける外部環境に対応できないため、サステナブルな調達組織に進化する必要があると岡野氏。「日系企業独自の強みの継承と進化のバランスが、改革の成否を分けるポイント」と述べました。

データに基づく戦略立案で進化し続けられる組織へ

岡野氏は「当社が考えるサステナブル調達とは、単に環境や社会に配慮するだけでなく、環境の変化に耐えられる組織へ進化し続けること」だといいます。

サステナブルな調達組織を目指すには、段階的な進化が必要であるといい、その道筋を3つのフェーズ ①変革の準備 ②変革の実現 ③変革の展開・維持改善 に整理しています。

これまでの個別最適の積み上げでは全体最適にならず、環境の変化に対応できないため、構造的な改革が不可欠であると指摘。より具体的な調達部門進化のためのロードマップを示します。

ステップ1:調達基盤のデジタル変革
プロセスの標準化、買い方の最適化、調達DXの導入でデータ基盤を構築

ステップ2:調達組織の構造改革
調達組織の統合、人材の戦略的業務へのシフト、蓄積データを活用できるデジタル人財の育成及び評価制度の作成

ステップ3:調達組織の高度化
データに基づく戦略立案・実行、AI活用

さらに岡野氏は、ロードマップの重要な要素5点について詳しく解説。

①属人知の形式知化とデータマネジメント基盤
過去の見積などのデータをAI-OCR技術等で構造化し、データ基盤に集約。Coupa導入で生成されるトランザクションデータも一元管理。これらを可視化することで属人化された知見を組織の資産に変換

②調達機能集約・プロセス/システム標準化・共通化
Coupaの標準プロセスやルールをベースとして、全体最適の視点で調達機能の集約と一元化を実現

③AI技術の活用による業務効率の底上げ
構造化したデータを基盤にベテランバイヤーの経験やノウハウをAIに取り込み、アプリへ実装し共有資産として活用

④改革を習慣化する組織文化の形成
データ基盤の構築やSaaS導入といった仕組みづくりと並行して、組織文化も変革。CPO設置による指揮命令系統の一本化や、全社戦略の方向性と一致させた調達戦略の立案・実行、KPIの定義を通し、調達部門のプレゼンスを向上

⑤AIエージェントによる業務高度化
蓄積されたデータを基盤としたAIエージェントのサポートにより、若手バイヤーもベテランバイヤーと同等の対応が可能

調達部門が経営に貢献するためには、直接材と間接材を両輪としてデータに基づく戦略的な意思決定をしていく必要があると岡野氏。

「直接材ではBOMツリー構造に基づくサプライチェーン管理および販売製造設計との連携が重要であり、一方間接材では販管費の大部分を占める支出を横断的に見直すことが求められる」と述べます。

最後に岡野氏は「調達改革知見」「プロジェクトマネジメント力」「IT実現力」を組み合わせた支援で、改革を習慣化する文化を育て変わり続ける力を持った組織への着実な進化に伴走できる“Real Partner”としてのアビームコンサルティングの強みを紹介し、セッションを終えました。

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