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NRIに学ぶCoupaの直接材・間接材への横断的活用

Coupaといえば間接材調達のイメージを持たれる方が多いと思いますが、実は直接材・間接材への横断的な活用が可能です。

2025年7月29日に開催されたCoupa主催のイベント「Inspire World Tour Tokyo〜持続的成長を実現する支出変革とAI活用の未来〜」に、株式会社野村総合研究所(以下、NRI)の田畑 貴大氏、川上 隆司氏、廣 卓郎氏が登壇。NRIが直接材・間接材調達を統合するプラットフォームとしてCoupaを導入した経験および顧客への導入支援事例から、直接材・間接材を横断したCoupaの活用について講演いただきました。

直接材・間接材を横断したNRIの調達改革事例

最初に廣氏が登壇し、直接材・間接材を横断したCoupaの活用によるNRIでの調達改革事例を紹介。廣氏は調達改革の背景として、マーケットの動向の変化やサプライチェーンマネジメントの必要性といった外部環境の変化があると述べ、そのほかの背景としてNRIの内部課題を3つ挙げます。

  1. 調達分類ごとに管理業務・システムを縦割りかつ個別最適で対応しているため、全体最適がなされず非効率
  2. 直接取引を行うサプライヤーは領域ごとに管理しており、サプライチェーン全体の管理が不十分
  3. サプライヤーのマスターが全社で統合されていないため、「会社×領域ごと」に個別対話が必要となり非効率
     

こうした課題解決のために、NRIは次のような3つの方針のもと、調達業務改革およびシステムの刷新を進めてきたといいます。

  1. クラウドサービスを活用した調達取引の効率化・高度化の推進
  2. サプライチェーン全体での管理レベル向上
  3. NRIグループにおける持続可能な調達対応の実現
     

調達業務改革では、まず共通部分として「業務標準化」「NRIグループ対応」「サステナビリティ・法制度対応」「高度な情報分析」「グローバル対応」を実現。

個別領域として「サプライヤーマネジメント」「社外委託」「物品購買」「サービス調達」「派遣」の主要5テーマを定め、実施してきたと廣氏。「共通部分の全てと個別領域の多くでCoupaの効果が見込めた」といいます。

システム刷新では、NRIグループ全体での利活用を推進するため、「コスト削減」および「導入容易性」を考慮して各種クラウドサービスを組み合わせたNRIグループの調達システムを実現。

「直接材の取引に必要なEDI(企業間の商取引に関するやり取りの電子化)機能や、間接材の取引のためのカタログ機能・パンチアウト機能を備えたCoupaを中心に、Coupaが不得意な部門間の調整などは別のツールで補い、ワンシステムに仕上げました」と廣氏は説明します。

改革の結果、次の3つの効果が得られたといいます。

  1. 情報の統合による業務の効率化・高度化
  2. さらなる電子化による業務効率化
  3. サプライチェーンマネジメントの実現

次の段階として、NRI単体への導入からグループ会社への展開を本格化させ、統合されたデータをAI・BIに活用して業務の高度化を進めているといいます。

廣氏は「ボトムアップではなくトップダウンアプローチで課題解決を考え、全体・個別の設計や最適なクラウドサービスの組み合わせを検討すべきである」とまとめて、事例紹介を終えました。

製造業の直接材調達におけるCoupa活用

続いて田畑氏が登壇し、NRIでの支援事例をもとにCoupaの直接材調達への活用について解説。「間接材にCoupaを使いながら直接材にはスクラッチや国産パッケージをカスタマイズしたシステムを使っている企業が多いと思いますが、複雑な調達プロセスを持つ製造業であっても、Coupaの直接材への適用は可能です」と語ります。

直接材の調達管理にCoupaを採用する理由として、田畑氏は次の3点を挙げます。

  1. 直接材と間接材のシステム統一
    • 保守・運用費用の削減
    • 中間的な品目も存在する直接材・間接材の購買データを一元管理
  2. グローバルでのシステム統一
    • 海外拠点の購買実態の見える化・ガバナンス強化
    • Coupaは多言語対応かつグローバルで利用されているため、取引の電子化率が向上
  3. 先端テクノロジーの活用
    • AIエージェントや不正検知機能など、AIを活用した購買で業務効率化
    • Coupa側での継続的な機能のアップデート

これまでCoupaでの直接材調達の実現には、周辺システムとの連携や直接材特有の業務、多様な帳票のニーズといった「壁」がありました。しかし、Coupaの新機能とNRIのナレッジによりそうした「壁」を乗り越え、実現が可能になったと田畑氏。

組み立て製造の直接材を例として実際の購買フローを提示し、それぞれ壁になっていた部分への対応策を川上氏が解説します。

壁1:周辺システムとの複雑な連携

<対応策>
直接材は間接材に比べてデータ連携数が多いため、業務プロセスごとにERPとCoupaで役割を分担させる。その際、データの発生源を明確にするのがポイント。

壁2:直接材特有業務

<対応策>

  1. フォーキャスト(購買需要予測)
    Coupaのモジュール「Forecast Collaboration」により、決められた間隔(日次・週次・月次)での購買需要の予測データをCoupaサプライヤーポータル上でサプライヤーと共有可能。
  2. 納期調整
    新モジュール「PO Collaboration」により、明細単位に「納期」や「納品数量」の確認・回答が可能に。1明細で分割納品となるケースにも対応可能。
  3. 支払通知
    受領データをもとにバイヤー側からの請求書(支払通知兼請求書)作成が可能。

壁3:多様な帳票ニーズ

<対応策>
Coupaの標準帳票は発注書と請求書のみのため、直接材で求められる内示書・納品書・現品票などは発注書をカスタマイズして作成。

「多様な帳票の作成については、今後のアップデートに期待したい」と川上氏。
 

調達システムのワンプラットフォーム化に向けた進め方

最後に再び田畑氏が、一般的な直接材を含む調達システムのワンプラットフォーム化の進め方について解説。

まず、直接材と間接材、あるいは拠点ごとに業務やシステムがバラバラな現状から、国内の調達システムをCoupaで統一します。このとき「間接材を切り離すとプロジェクトが止まりがちになるため、直接材と間接材の改革は並行または連続させるのがよい」と田畑氏。

国内が統一できたら海外展開へ進みます。「海外拠点でのカスタマイズは極力避け、日本で作った型を基本に、グローバルの調達システムをCoupaで統一していくことがポイント」と田畑氏は述べます。

もっとも、「実際のプロジェクトは複雑で企業ごとにバリエーションがあるため、課題を明確にしたグランドデザインが重要」と田畑氏は指摘。NRIはグランドデザイン策定からシステム導入、リリース後の保守・運用までの一貫した支援が可能であると強調し、セッションを締めくくりました。

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