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AI活用で実現する調達購買の高度化〜アクセンチュアが提供する企業変革「TER」とは〜

急速に変化する外部環境に対応するため、企業全体の変革が求められています。様々な業務領域にかかわる調達購買部門は、これらの変革の中心にあるのです。

2025年7月29日に開催されたCoupa主催の「Inspire World Tour Tokyo」では、アクセンチュア株式会社(以下、アクセンチュア) ビジネス コンサルティング本部 プリンシパル・ディレクターの梅原広行氏と、シニア・マネジャーの瀬尾道一氏が登壇。AIを活用した企業全体の再創造(TER)と調達購買部門の高度化、その実践についてうかがいました。

外部環境の変化により迫られる企業の調達変革

アクセンチュアは現在日本で2万7,000名以上の社員を抱え、ITサービスからBPO、デジタルサービス改革まで総合的に支援するプロフェッショナルサービス企業です。特にCoupaのグローバルでのNo.1パートナーとして、システム導入から活用支援まで幅広くサービスを提供しています。

梅原氏は冒頭、現在の企業を取り巻く外部環境について「過去10年から変化はあったが、昨今はスピードとグローバルな影響の規模が格段に違う」と指摘。こうした外部環境の変化は、調達にも大きな影響を与えていると説明します。

上記図の通り、調達は様々な業務行為につながっており、それぞれの分野で大きな変革が起こっています。そのため、調達のやり方も変えていかなければならないといいます。

こうした状況下において、企業全体はどのように変化すればいいのでしょうか。

アクセンチュアが提唱するのは「Total Enterprise Reinvention(TER)」の概念の活用です。TERは「全社的な再創造」の訳で、企業やその業界において新たなパフォーマンスの境界を設定するための戦略だといいます。

梅原氏は「今までは、縦割りの部分最適を狙ってきた企業も多いが、外部環境が目まぐるしく変わる中、企業全体から見た変革を考えなければならない」と説明。TERの実現には、以下3つの要素が必要だといいます。

  1. 次世代のツールやソリューションの活用
  2. End to Endプロセス全体への活用
  3. 最新のデジタルコアと能力を持つ人材

これら3つの掛け合わせで効率的な構造改革を行い、TERを推進することが必要です。

調達購買業務が直面する課題と変革の方向性

梅原氏は、現代の調達購買領域における主要な課題を4つ挙げています。

1つ目はコストダウンです。「調達はコストダウンしてこそ」という現実を踏まえ、より戦略的なアプローチが求められます。

2つ目はガバナンスの強化です。社会全体でガバナンス強化が求められる中、社内外の調達行為の統制という課題を解決する必要があります。

3つ目は、労働人口減少に伴う効率化の推進です。労働人口が減っていく中で、オペレーションを担う人材の不足・高齢化が進むため、これらを考慮した効率化が求められます。

4つ目はサプライヤー管理の複雑化です。サプライヤーに対する評価として、従来のQCD(品質・コスト・納期)に加え、人権デュー・ディリジェンスや環境問題といった新たな評価軸の考慮も求められています。さらに、関税問題や紛争、倒産、物流混乱など、管理すべき課題がますます増加しています。

これらの課題に対し、梅原氏は「AIを活用した調達購買行為を実施していく時代になりつつある」と指摘。従来、構造改革は人間が推進するものでしたが、現代の構造改革には新しいソリューション、特にAIの活用が欠かせません。

AIによって実現するTERとしては、業務プロセスの最適化やビジネスモデルの革新、製品開発の効率化など、様々なケースが想定できます。

AIによる調達購買高度化の3つのステージ

では、AIを活用した調達購買業務の高度化はどのように実現可能なのでしょうか。瀬尾氏は「AIによる高度化には3つのステージがある」といいます。

改革前の段階(ステージ0)では、アナログなデータ処理やデータ整備の仕組みが未確立のため、データ分析が困難な状況にあります。さらに、各部門が購買行為を個別にやっている状態が想定されます。

ステージ1では、ソリューションの導入によりプロセスやルール、データが整備され、統一された形で業務が進みます。これによりデータ管理がようやくできる状態になります。

ステージ2では、データが可視化されることで、調達コストの削減施策への気づきが生まれます。データの可視化により、コスト削減施策の実施が可能になります。

ステージ3では、安定稼働とデータ蓄積により余力が生まれ、戦略的活動が拡大します。例えば、A社からの単独調達だったものを継続性や冗長性の観点から複数社に分散するといった取り組みが実現可能になります。このような新しいサプライヤー探索などの戦略的な調達活動により、調達購買業務の高度化、効率化が広がります。

瀬尾氏は「ステージ2や3は、AIが非常に得意としている分野」と説明。「データの蓄積をベースとして分析し、その分析結果と特定の条件をもとにした提案までをAIで実現できるようになってきている」といいます。

Agentic AIの登場で変わる購買の未来

瀬尾氏が昨今注目するのは「Agentic AI」の登場です。従来のAIは単体のツールで、人間が指示を出す必要がありました。それに対しAgentic AIは「AIがAIに対して指示を出し、AI同士が連携して業務を進めることが可能」だといいます。この変化により人間の役割は軽減され、AIが判断した内容の確認や承認などの最終的な判断にかかわる部分にとどまります。

ここで重要なのは、組織の役割や業務の配置を大幅に変更できることです。従来は上記図の「業務軸」にあたる大量のタスクを人間が担う必要がありました。しかし、Agentic AIを活用することで、これら大量のタスクをAIに置き換えることが可能になります。

さらに瀬尾氏は「AIが業務を担うことで、それらのタスクのデータが蓄積され、次第に精度も向上し、業務改善そのものも可能となる」と説明します。

テクノロジー活用による業務変革の事例

瀬尾氏は、実際にAIやRPAなどのテクノロジーを活用した事例を紹介します。

1つ目は、戦略的ソーシングの自動化です。支出分析により購買の現状を確認し、課題を検知するためにAIツールを導入しています。レポーティングやサジェストもAIで対応可能です。

2つ目は、購買オペレーションの効率化です。カタログ登録から、見積の自動作成、発注、レポート作成まで最大限ツールを活用し、業務効率化を実現しています。さらに、ユーザーサポート業務にチャットボットを導入することで、大幅な人員削減が可能となります。

戦略的ソーシングは、3つの段階に分けて取り組みます。

まずは統一基準でのデータ整理です。ここではAIを使って、何を購入したかを示す中分類と、購買の目的を示すZBSの2つの分類軸をデータに付与する形で整理します。

統一基準でのデータ整理ができていれば、仕分けのチェックや毎月のトレンド、不正リスク検知などもAIで自動的に分析可能です。最終的には、仕分けの適正化や改善施策のサジェストまでAIで実施できるようになります。

瀬尾氏は「AIなどのツールは、課題の抽出を素早くかつ適切に行う必要がある領域で活用できる」と説明。加えて、これらの施策の結果「AIの導入によって人手が余る場合、戦略的ソーシングに人員を移行させることで、調達購買の改革や高度化を実現できる」といいます。

瀬尾氏は最後に、今後登場しうるAIについて説明。Coupaに標準で搭載されるAIのほか、Coupa上で開発可能なAIやCoupa外で開発するAIがあります。

重要なのは、AI市場の現在と今後を見据えたゴール設定です。瀬尾氏は、AI導入を検討される企業に対して「AIと一口に言っても、データ分析系からドキュメント生成系まで幅広いAIがあります。今、市場にどういったAIがあり、それらを用いて自分の企業や組織がどこまで行けるのか、といったところまで検討いただくと良いと思います。その上で、ゴールに向けたロードマップを設定し、着実に効果を出していくところを目指していただきたい」と呼びかけました。

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