本記事は、「購買調達の課題を定義し、テクノロジーで解決するには? 」を元に作成した記事です。

先日参加した学会で、The Hackett Groupは、回答者の95%が今後2~3年の間に購買調達はデジタル変革により大きく変化すると考えているという調査結果を発表しました。

では、あなたの会社には、機械学習を応用して提案を行う戦略はありますか購買調達プロセスを自動化するためのRPAの試験導入はしていますか?RFPシナリオの最適化ツールはありますか?購買調達チームが行っているすべての意思決定に対して、必要に応じてデータを取得する方法はありますか?シンプルな購買調達作業はスピーディーに、複雑な購買調達作業だと数週間以内に完了できますか?

もし、手元に見込みサプライヤーのデータベースを保持していたらどうでしょう?上記で上げたようなツールを現段階で全て導入検討をする必要はありません。

まず必要なのはデジタルロードマップであり、その策定巨額の投資をつぎ込む必要はありません。ブロックチェーン、3Dプリント、機械学習の専門家でなくても構いません。また、ロードマップの設計の際に大勢のコンサルタントも必要ありません。そして、購買調達のソリューションの導入から実装までシンプルに設計されており、スピーディーにプロジェクトを開始することができます。過去に経験したERP導入と実装については記憶から消し去りましょう)。

購買調達は多くの可能性を秘めています。多くの企業で、私が過去に経験した事例を実現できると考えており過去に進めてきたテクノロジー変革学んだことを共有したいと思います。

この4部構成のシリーズでは、デジタル・ロードマップを作成するためのプロセスを順を追って説明します。解決したい問題の定義から 改善分野を特定し、プロセスを再考、そしてデジタル投資の優先順位を決めます。これは共同作業によるプロセスであり、正しく実装すれば効果は増大します。

多くの既存テクノロジーとは異なり、これから説明コンセプトは新しくはありませんが、これを応用すると1年以内にデジタル分野の専門家と評価される可能性もあります。大前提として理解すべきことは、デジタル化とはプロセスの消滅と言われることがあります。しかし、それが正しいとは思いません。崩壊したプロセスや低品質なデータの上にデジタル技術を適用することは本来のデジタル化の目的とは言えません。

同じプロセスを適用することは、過去から同じ道を進み、悪い結果を早い段階で遭遇することだと言えます。現在のプロセスはテクノロジーによって根本的に見直すことが可能であり、機会学習によって長年データの質を解決するのに役立つと確信しています

購買調達の問題定義について紹介します。

  • デジタル化すべき範囲を決めます。購買調達から支払まで、もしくは発注から支払まで、あるいはその一部かもしれません。この決定によって、この範囲を決める作業は、これからの作業ステップの方向性を決める重要な部分のため、慎重に進める必要があります。
  • プロセスの上流と下流にいる担当者を含めて、プロセスに関与する社内メンバーを特定しますたとえば購買調達から支払までのプロセスでは、エンドユーザーとサプライヤーを含める必要があります。人数は15人を目安とし、それ以上の人数の関与が必要な場合作業範囲が広すぎる可能性があります
  • 集めたメンバーを集合させ60~90分のセッションを実施します(注 - このセッションと、次の記事でお話しするセッションと同時に行い、合計4時間のセッションにすることも可能です。あるいは、2日間のワークショップ形式でも構いません。重要なのは説明されているすべてのステップを実施することです
  • セッション中は解決されていない問題や、よりスピーディーで効果的に実現出来そうなアイデアを説明します。 謙虚な姿勢で、あらゆる視点や考えを歓迎することが非常に重要です。そして、この作業が、購買調達担当者や会社全体が達成しようとしているより大きな全体像とどのように結びついているのか共有しましょう。
  • アイデアを集めるために付箋を配、出席者には付箋1枚にひとつの事例を書いてもらいます。この手法は、サイレントブレインストーミングと呼ばれます。この作業を行うのに、必要なだけ時間を設けましょう。
  • 全員が書き終えたら付箋を壁に貼って、テーマごとにグループ分け、そのテーマに名前を付けます。すると、驚くほどはっきりとアイデアが明確になります
  • 次のステップではグループ内で、出てきたテーマについて話し合います。チーム全員で、傾聴と「5つのなぜと問い掛ける時間です学習のため、のステップでは主に質問をして疑問点を明確にしていくことが重要です。
  • 次は難しいステップに入っていきます。チームで協力して問題提起を作成します。テーマのキーワードから、あなたが解決しようとしている問題に焦点を当てたステートメントを1つ作成します。例えば、「意思決定の際に入手できる情報が少ないため、供給市場のリサーチやサプライヤーの特定に貴重な時間が費やされ、それでも直感で決断せざるを得ません。このような遅延やデータに基づかない意思決定は、新製品の導入や利害関係者との関係に影響を及ぼします」
  • その問題提起が何であれ、これが今、重要なメッセージとなります。この問題提起は、その後のすべてのセッションで、実際の問題解決に確実に注力するためのリマインダーであり、ガイドとして提示されるべきものなのです。

最も難しいのは点として、セッションをオープンディスカッションの状態保つこと、客観的であること、防御的にならないこと、そして、すべてのフィードバックとアイデアを受け入れることです。

私が当時セッションを担当したとき、参加者が席を立ち、感情的な反応を示すことがありました。そのような場合は、休憩を取り、10~15分後に再開してください。このセッションの意図は出席者を不快にすることではなく、全ての意見を発信させることです。それが、成功への近道となるのです。もし、ご自身が客観的な方法で会議を進行できないと思われる場合は、信頼できる同僚に進行役をお願いしてください。

これらは本当にシンプル手法で、時間以外は何の投資も必要ありません。信じられないかもしれませんが、これが成功すれば、すでに最も難しいステップのひとつが完了したことになります。まずは始めることです。次回は、改善すべき点を突き止める方法についてお話します。