Coupa導入効果・実績
最大30分
68%
課題
- 「Energy Transformation戦略」に基づく事業展開の多様化・スピード化
- 伝票とメールに依存していた非効率な調達プロセスの抜本的な見直し
- 今後10年の資材調達を支えるデジタルプラットフォームの実現
ソリューション
- Coupaの総支出管理ソリューションを採用し調達プロセスをデジタル化
- Coupaの活用により資材調達改革を加速させ「業務効率化」「標準化」「ガバナンス強化」を実現
成果
- BPRプロジェクトで定義した方針をCoupaの機能で具現化し改革を推進
- 資材調達業務のデジタル化により調達プロセス全体を可視化
- 承認フローや権限設定をCoupaで統制し、標準化とガバナンス強化を実現
- 調達データの分析に基づく戦略的な調達を可能に
株式会社INPEX
サプライチェーンユニット
副ジェネラルマネージャー
林 夏記 氏
株式会社INPEX
サプライチェーンユニット
サプライチェーン企画グループリード
中川 洋一 氏
アビームコンサルティング株式会社
エンタープライズトランスフォーメーションビジネスユニット
Value Chain Excellenceセクター 兼 製造ビジネスユニット
執行役員 プリンシパル 今村 達也 氏
アビームコンサルティング株式会社
エンタープライズトランスフォーメーションビジネスユニット
Value Chain Excellenceセクター
シニアマネージャー 川俣 俊輔 氏
アビームコンサルティング株式会社
エンタープライズトランスフォーメーションビジネスユニット
Value Chain Excellenceセクター
シニアコンサルタント 西坂 翔吾 氏
次世代エネルギーへの移行、事業展開の多様化とスピード化
INPEXは、世界約20カ国で事業を展開する「日本最大の石油・天然ガス開発企業」である。近年は、強みを持つ石油・天然ガスに加え、水素や再生可能エネルギーなどの多様なエネルギーの安定供給を担う「Energy Transformationのパイオニア」としてグローバルで存在感を高めている。同社 サプライチェーンユニット 副ジェネラルマネージャーの林夏記氏は次のように話す。
「私たちはINPEX Vision 2035で『責任あるエネルギー・トランジション』を掲げ、次世代エネルギーへの移行を加速させています。低炭素化とエネルギーの安定供給の重要性いっそう高まる中、目の前の大きなチャレンジは、天然ガス・LNG事業の拡大、CCUS(CO₂回収・貯留)と水素をコアとする低炭素化ソリューションの提供、電力関連分野の事業展開です」
サプライチェーンユニットは、多様化が進むINPEXの事業活動を支える契約・調達・ロジスティクス・保険の専門組織である。2025年4月の組織改編により、社長直轄のコーポレート調達部門として再編された。
「資材調達における2024年度の実績は、およそ2,000社のサプライヤーから3,800億円規模に達しました。INPEXが手掛けるエネルギープラントは2,000万点以上の部品・部材で構築されており、建設費の総額は数兆円に達することもあります。調達規模と件数が非常に大きいことが、エネルギー業界の特徴であり課題でもあります」(林氏)
INPEXでは、多様化する事業展開にスピード感をもって取り組むための全社の基盤整備として、2020年よりERPの最新化プロジェクトを進めている。サプライチェーンユニットでも、バイヤーの大きな負担となっている調達業務と、効率性を高められないプロセスを見直す機運が高まっていた。
「従来の調達プロセスは、ERPから出力される伝票をメールでやり取りするような非効率なものでした。システム機能上の制約や改修コストの高さから、抜本的な改善がなされない状況が長く続いていましたが、アビームコンサルティングの支援を受けて、2022年にようやく資材調達改革(調達BPR)に着手しました。私たちがこのプロジェクトで掲げた目標は、調達領域における『業務効率化』『標準化』『ガバナンス強化』です」(林氏)
ERP稼働に先んじて調達プラットフォームを利用開始
アビームコンサルティングは、調達プロセスにおける現状分析を経て課題を洗い出し、サプライチェーンユニットのメンバーとともに、業務効率化、標準化、ガバナンス強化の達成に向けて「あるべき調達プロセス=To-Be像」を描いていった。いわば「調達業務改革の設計図」である。同社 執行役員 プリンシパルの今村達也氏は次のように話す。
「業務負荷の大きい手作業がかなり残っていること、品目カテゴリーごとに定められた職務分掌やシステム設定となっていたことで、調達プロセス全体が複雑化していることが大きな課題でした。私たちは、INPEX様の変革への強い意思を感じながら協力してBPRプロジェクト活動を進め、調達業務を標準化・効率化するための7つの改善テーマと、31項目の改善ポイントを導き出しました」
調達BPRを経て、新たに「標準調達業務プロセス」が定義された。さらに、INPEXにおける「資材調達の根幹となる思想」が再確認され、これが後に続くプロジェクトの大きな指針となった。INPEX サプライチェーンユニットの中川洋一氏は次のように話す。
「非効率な調達プロセスの背後には、既存のERPを中心に構築された調達システムの老朽化問題もありました。私たちは、調達BPRをやりきったその熱が冷める前に、プロジェクトの成果である『調達業務改革の設計図』で示された方針を具現化する推進基盤を整備すべきだと考えました。それも、効率化、標準化、ガバナンス強化の圧倒的な推進力を発揮し、『ゲームチェンジャー』としての役割を担う強力な調達プラットフォームでなければなりません」
2022年終盤、林氏、中川氏らは、国内外6製品を候補に新たな調達プラットフォームの選定に着手した。ここで打ち出した方針は、「最低でも10年使う」「ERP稼働に先んじて調達プラットフォームの利用を開始する」という大胆なものだった。
「私たちは、BPRで描いた『調達業務改革の設計図』を具現化し、私たちの目標を達成するための調達プラットフォームとしてCoupaを選定しました」(中川氏)
調達業務改革における「ゲームチェンジャー」
Coupaは、企業における調達から契約、支払いまで、あらゆる支出を一元的に可視化・最適化するクラウドプラットフォームとして世界中で支持を拡大している。「総支出管理ソリューション」としてのCoupaは、従来型の調達システムの枠を超え、直接材・間接材すべての支出をEnd-to-Endでコントロール可能にし、企業の利益向上と持続的な成長に貢献する。
「Coupaは、調達業務改革における『ゲームチェンジャー』になると直感しました。調達プロセスがEnd-to-Endで統合化・整流化されることで、業務効率化、標準化、ガバナンス強化を一気に前進させることができます。使いやすいユーザーインタフェースを備え、社内ユーザーとサプライヤー様に優れた利用体験を提供できることも重要です。調達業務改革とユーザビリティを高度に両立できるSaaS製品として、Coupaは他を大きく上回っていました」と林氏は話す。
中川氏も「『最低でも10年使う』という方針に対しても、Coupaが備える先進機能と、SaaS製品ならではの進化のスピードを高く評価しました。また、私たちがBPRを経て再認識した『資材調達の根幹となる思想』と、『Coupaの設計思想』が非常に近いことに共感・安心感を覚えたことも大きかったと思います」と続けた。
Coupaによる調達業務改革への貢献は下記の通り広範に及んだ。
- 調達業務プロセス全体のデジタル化(見積依頼から発注、請求までのプロセスをオンラインで実施)
- 標準化とガバナンス強化(承認フローや権限設定をシステム機能で統制し、不正リスクを低減)
- データ活用による意思決定支援(調達データを集約し、コスト分析やKPIモニタリングを可能に)
- サプライヤーとの連携強化(Coupa Supplier Portalを通じて発注・請求のやり取りを電子化)
「Coupaでは、調達単位、部門単位、プロジェクト単位、サプライヤー単位などで、支出の目的・用途・支出額を即座に可視化できることが画期的でした。これまでは、ERP上の調達データの集計には膨大な工数を要しており、四半期単位かつ限られた切り口でしか支出を参照できませんでした。経営・マネジメント層だけでなく、バイヤーやユーザーも必要なタイミングで『支出を把握して管理可能』になることはまさに劇的な変化です」(中川氏)
導入から4か月で68%のユーザーが効率化を実感
アビームコンサルティングの支援によりCoupa導入は順調に進み、計画通り2025年2月に「新調達システム」が本番稼働を開始した。社内ユーザーは、サプライチェーンユニットのカテゴリーマネージャーと担当バイヤー、事業部門を合わせて600名を超える。
「SAP S/4HANAの稼働開始におよそ1年先行する形でCoupaの利用を開始しました。調達BPRからの時間差を最小にすることで、関係者が高いモチベーションを維持した状態でCoupaを使い始めた効果は大きかったと思います。導入から4か月目に実施したアンケートでは、1案件あたり最大で30分の時間短縮を達成し、68%のユーザーが『調達業務の効率化を実感した』と回答しました」と林氏は手応えを示した。
アビームコンサルティングは、Coupaのユーザー向けトレーニング、ユーザーマニュアルの整備、サポートデスクの提供など、充実した定着化支援を進めていった。
「難題と思われていたサプライヤー様のCoupa Supplier Portalへの参加も、拍子抜けするほど順調に進みました。Coupaのユーザビリティの高さが証明された好例ではないかと思っています」と中川氏も笑顔を見せる。
これまでサプライチェーンユニットの担当バイヤーの手を煩わせてきたテールスペンド(少額購買)を、Coupa上で事業部門のユーザーが行う仕組みに変えたことで、バイヤーの業務負担は大幅に低減された。
「これにより担当バイヤーが、調達カテゴリー戦略や入札・契約戦略、サプライヤーエンゲージメントといった重要度の高いテーマに注力できる体制に移行しつつあります。今後は、Coupa上の支出データの分析を通じた調達コストの最適化、サプライヤーのパフォーマンス評価やガバナンス強化への取り組みも進めていきます」(林氏)
Coupaの活用は、INPEXにおける資材調達業務を理想の姿に近づけ、より強力で合理的なサプライチェーンの実現に向けて「業務効率化」「標準化」「ガバナンス強化」を前進させている。林氏は次のように結んだ。
「調達BPRからCoupaの導入・定着化まで、プロジェクト全体を通して私たちに伴走してくれたアビームコンサルティングには非常に感謝しています。『必ず成功させ、結果を出す』というプロフェッショナルとしての意識、コミットメントの高さに心から敬意を表します。今後は、Coupa内に蓄積される調達データを活用した調達戦略策定のためのインサイト抽出の仕組みづくりや、AIを活用したさらなるユーザビリティ向上の面でも、引き続きサポートしてもらえることを期待しています」