本記事は、「財務の健全性と成熟度を高める4つのステージ」を元に作成した記事です。
金融業界は変化の激しい時代を迎えています。OECD(経済協力開発機構)が2021年のGDP成長率予測に関して、3カ月前の予測結果から1%以上の上方修正をしました。このような経済動向は金融業界の安定性が戻りつつある傾向といえます。
また、CFO(最高財務責任者)の90%近くが増収を予測しています。
しかし、これらの統計には別の真実も混在し、予測不可能な事態が続くという想定も含まれています。インドでのコロナウイルス感染症の急増、ゲームストップ株の踏み上げ、スエズ運河の封鎖、コロニアル・パイプライン社へのハッキングなどは、まさに予測不可能な事態の兆候です。
「次は何がおきるのか?」という観点では無く、「次の予測不可能な事態はいつ起きるのか?」という観点で市場をみていくべきです。また、「今何をすべきか ?」という問題もあります。
そして財務責任者の立場として、2つの選択肢があります。
ひとつは、業界ではスタンダードな運用を継続し、予測不可能な危機が発生した際に都度対応をする。
もうひとつは、未来の予測不可能な事態を想定し、財務管理責任者として十分な準備を進めるかです。
ただ、変化の激しい今の時代は、後者を選択することが賢明だと考えられます。つまり、運営資金の最適化、成長投資、緊急時のコスト管理など、正確的で迅速な意思決定を実現するための、あらゆる機能を備えていることが、コントロールを取り戻すための鍵なのです。
各企業は全体的なビジネス・スペンド・マネジメント(BSM)の手法を用いて、財務の安定性を高めることができます。
なぜBSM(ビジネス支出管理)を財務に?
BSMは、ポイントソリューションや手作業による処理が苦手とする分野に貢献できます。
クラウドやAIなどの先進技術を取り入れたBSMのアプローチは、データと定量的なインサイトを優先し、現金、流動性、運営資金、リスクに対する可視化を高めて管理を可能にします。
支出や流動性に関連する広範囲なプロセスを調和させることで、財務パフォーマンスが向上します。BSMは、財務、支払、購買、資金管理の各担当者が協力し合い、よりスマートに業務を遂行することで、財務の健全性を最適化を可能にします。
財務の成熟度モデルについて
私たちは財務の成熟度を4つのステージで定義したモデルを提言し、BSMの変革による財務成熟度のプロセスを可視化できるようにしました。
このモデルでは、典型的な発展過程を表しています。まず、財務管理の通常運用は行われているものの、大きなギャップがある「反応的」なステージがあります。一方、「最適化」された企業は逆境を予測し、重要なチャンスを早期に発見することができます。
財務責任者は、このモデルを採用することで以下の課題の解決に取り組むことができます。
- 自社の財務健全性を把握
- 可視性、管理、財務実績が、各ステージで財務の健全性にどのように影響するかを理解
このモデルについて詳しくご覧になりたい方は、E-Book「財務健全性の最適化ガイド」をご参照ください。
財務成熟度の各段階におけるBSMの利点
このガイドでは、BSMによる可視性、管理、財務実績の向上により、財務、支払、購買、資金管理部門を横断して、財務健全性について最適化する方法について説明しています。
ステージ0:リアクティブな組織が直面する問題
- 業務効率が悪いマニュアル作業、支払いでのミス、財務状況を示す十分なデータが無く意思決定を妨げる。
BSMはリアクティブな組織を支援
- 業務を横断したマニュアル作業をデジタル化、自動化し、ひとつのプラットフォームに統合
- 信頼できるひとつの財務データに統合を検討開始すべきである。
ステージ1: オペレーションが確立された組織が直面する課題
- 不正支出の検知や、サプライヤーの不整合なリスクスクリーニング
- レガシーなマニュアル作業体制と、グローバルの流動性ニーズにおける表面化されていない問題
確立された組織に対してBSMが支援できること
- 経費を管理し、全てのサプライヤーに対してスクリーニングを自動化
- ソーシングから支払いまでのプロセスを構築、全体プロセスの健全性の把握が可能
ステージ2 : 統制された組織が直面する課題
- FXや借入コストが高く、運転資金があちこちに滞留
- マニュアルでのデータ入力によるミスや非効率性が、フォーキャスト計画プロセスに悪影響
統制された組織に対してBSMが支援できること
- インハウスバンキングの設立、資本収益の向上、キャッシュフローの確保、シナリオ分析の実施
ステージ3 : 最適化された組織の必要事項
- 支出、支払、継続して流動性を最適化し、ビジネスの成長を維持すること
最適化された組織に対してBSMが支援できること
- コミュニティが提示したKPIを参照し、業績を継続的に評価することで目標達成を実現
BSM(ビジネス支出管理)プラットフォームを導入することで財務責任者に対してどのように支援ができるのか、また未来の混乱に備えて財務の健全性の最適化について説明したE-book「今がその時:将来のある財務健全性-財務成熟度の4段階モデル(英語)」をご覧ください。