本記事は、「ERPの誤解:ビジネス価値を重視した業務プラットフォームを構築」を元に作成した記事です。
考慮すべきポイント:BSM(ビジネス支出管理)はCRM(顧客関係管理)やHRM(人的資源管理)と共に、全ての企業が取り組むべき重要なビジネスプロセスとして位置づけられています。これらの業務領域をERPと組み合わせることで、すべての企業で把握し管理すべき重要な4つの領域、顧客、従業員、支出、資金を網羅することができます。
なぜERP以外のプラットフォームを必要とするのでしょうか?
ERPは一般的な企業が有するITアーキテクチャの基盤です。ERPは企業の財務報告をする際に必要不可欠ですが、重要な4つの領域、顧客、従業員、支出、資金の全てのニーズに対して対応しておらず、そして4つの領域全てに対してERPを導入し運用すべきではありません。
Salesforce.com や Workday の導入管理を担当するIT部門責任者に、業務システムの統合戦略として 、ERP に顧客データや従業員データを保持しているか尋ねてみると、おそらく多くのIT部門責任者は意外な反応をするでしょう。
IT部門責任者は「顧客データや従業員データの管理はSalesforce.comやWorkdayの役目です、ERPの役割ではありません。」と回答するでしょう。 同じく、営業やマーケティングのワークフロー(見込み客の状況や商談の進行など)、従業員のワークフロー(新人研修や休暇申請など)の管理にERPが使用されているのか、IT部門責任者に質問しても同じように「ERPを従業員の管理や営業の商談管理に使用するのは不適切です、それはSalesforceやWorkdayの役割です」という答えが返ってくるでしょう。
ではなぜ、支出データと業務フローに関しては、ERPの役割とビジネス支出管理の間に明確な区別がないのでしょうか?支出管理を提供するソフトウェアベンダーの中には、企業の支出データ及び支出管理ワークフローの一部はERPに構築すべきだと述べる者もいます。
データと業務フローの構築において重要なのは、業務のために設計されたビジネス向けアプリケーションを導入することです。各業務においてSalesforce.comやWorkdayがベストプラクティスを提供しているのにも関わらず、一部のソフトウェアベンダーは支出データと業務フローはERPで十分と考えています。
そう考えられる要因として、支出管理を提供するソフトウェアベンダーはERPソリューションのプロバイダーでもあるからです。顧客や従業員のデータとは異なり、支出データをERPで保持すべきだと顧客を説得することが、ベンダーにとって利益となるからです。
しかし、顧客の本番稼働後の業務運用やシステム定着率を考慮した場合、ベンダーは顧客に対して各業務領域に適したソリューションを提案すべきです。ベンダーは顧客の業務効率化を最優先に考え提案をしなければ、最終的には顧客からの信頼が無くなってしまいます。
ビジネス価値を最優先する
ビジネス価値とはなんでしょうか?
具体的にはSalesforce.com や Workday のように、明確に定義された基幹業務プロセスに対応するために設計されたプラットフォームを持つことによって得られるビジネス価値です。支出管理に関しては、支出の可視化、支出管理、支出のコンプライアンスを向上させることでビジネス価値が生まれます。
SalesforceやWorkdayのように、BSMプラットフォームのアプリケーションは、統一されたプラットフォームで導入可能です。CoupaプラットフォームITリーダー向けE-Bookで詳しくご覧ください。
支出関連のビジネスプロセスの業務フローは、プラットフォーム内で完全に管理されています。すべてのデータ送信から、ワークフロー内のあらゆるやり取りをERPに送信する必要はありません。ERPとのやり取りが必要となるのは、マスターデータ項目(ユーザー情報や会計構造など)と一部のトランザクションデータ(支払い状況の更新など)だけです。これは、効率が良いビジネスプロセス主導の統合アプローチと言えます。
統合の複雑さを軽減し事業価値の向上についてLinkedinの記事で詳しく紹介しています。「When it comes to Integration, focus on Business Value(統合では、事業価値を重要視)」をご覧ください。
ERPのデータやワークフローを制限すると価値が損なわれる
IT業界でERPシステムベンダーがよく提案するのは、可能な限りすべてのデータポイントを統合し、一部のワークフローにERP自体を使用することです。これは非常に複雑な統合になりますが(エンタープライズアーキテクトが避けようとしていることです)、ビジネス上の価値はほとんどありません。例えば、発注書を重複して作成したケースで考えると、発注書を重複して作成することは非効率的な業務作業となり、ビジネス価値は生まれず、統合の複雑さも増します。
また、支出の可視化、管理、コンプライアンスの欠如というビジネス上の問題についてはどうでしょうか。ERPにすべてを集約することは、単に複雑さを増し、重複する可能性が高くなり、混乱が生じ、ERPはバックオフィス用に設計されているため、普及率が低く、導入が進まないという結果になります。このようなシナリオでは、ビジネス目標を達成することは不可能です。
財務報告に必要なデータはERPに保存し、可視化して管理します。そして、コンプライアンスに必要な支出データはBSMプラットフォームに保存することが最適だと言えます。統合の複雑さを高めIT投資から最小限のビジネス価値を得るか、複雑さを最小限に抑えIT投資から最大の価値を得るか、選択するのは企業ですが、答えは明らかでしょう。
CoupaのBSMプラットフォームがどのように企業のデジタル・トランスフォーメーションを支援し、企業の業務に適したプラットフォームを構築できるのか詳しくはこちらのE-Bookをご覧ください。