本記事は「デジタルサプライチェーンツイン:サプライチェーンの回復力と適正を強化」を元に作成した記事です。

AIサプライチェーンサミット(2021年3月開催)のセッションから得た5つの重要なポイント
デジタルツインという概念は何年も前から存在しているが、いまだに多くの混乱を巻き起こしています。デジタルツインを解説する上で分かりやすい例として、フライトシミュレーターがあります。

パイロットは、変化する状況への対応を試し、どのような行動が安全な着陸につながるかを確認します。フライトシミュレーターは安全な操作環境を提供し、様々な条件・飛行経路に対して、未来に備えて学習練習することができます。

その結果、パイロットは安全に飛行でき地上まで安全にランディングするだろうという「盲目的な状態だからこそ乗客はリラックスした状態で飛行することができるのです。

もし、これと同様の信頼性をサプライチェーン・プランニングで再現できるとしたらどうでしょう?これこそ、デジタル・ツイン実現できることです。

デジタル・ツインとは?

デジタル・ツインはフライト・シミュレーターのようなものです。デジタル・ツインは、デジタル化したサプライチェーンで、シナリオ・プランニングのテスト実行を可能にします。

デジタルツインを導入することで、予測不能な可能性を分析したり、最も発生しやすい状況を特定することが可能になります。つまり、予測が難しい将来的な混乱への対応をシミュレーションすることで、効率的に対応できるようになるのです。

上記で説明した内容を理解した上で、2020年12月に開催されたオンラインセミナー「World Digital Supply Chain and Logistics Summit」でのセッションで解説した重要な5つのポイントを紹介します。

デジタルツインで重要な5つのポイント

デジタルツインは、パンデミック後の世界でビジネスを継続させサプライチェーンの回復力を高めるために必要不可欠であるが、同時に多くの企業で正しく理解されていません。

ここでは、デジタルツイン構築で考慮すべき5つのポイントを紹介します。

1. 意思決定は相互に関連し、外側から内側へのアプローチであること
従来、アプリケーションは、サプライチェーンの特定の機能における意思決定を最適化するために開発されました。別の言い方をすれば、物事が変わることや 大きな混乱は起きないという前提があり、実際これまではそうでした。しかし、現代にこのアプローチは不適切でありこの手法では大幅なコスト削減やサービス向上は実現できません。

なぜなら、企業において、各部門が独自ドメインのように機能し、極めて閉鎖的な環境で運営されてしまうからです。しかし、ビジネスのデジタル化と複雑化が進むにつれ、全体にとって最適ソリューションと視点が求められるようになりました。

デジタルサプライチェーンツインでは、エンドツーエンドのサプライチェーンの意思決定を、総コスト、サービス、効率性、俊敏性に与える影響という観点から評価することができます。

2. AIを活用したテクノロジーにより、大規模な破棄や代替をすることなく、大幅なイノベーションが可能になる
新しいテクノロジーソリューションの導入は、これまで投資してきたものをすべて捨ててしまうことになると懸念する経営者がいます。しかし、実際はその逆です。デジタルツインは、既存のシステムを改善します

現行のERPシステムから重要なデータを抽出し、仮想環境で検証することで、現行ソフトウェアの利用期間を延長することができます。つまり、現在のフレームワークを保持しながらAIを活用したサプライチェーン・アナリティクスの手法を活用することが可能になります。組織で最適な意思決定ができれば、得られたマスターデータの設定を処理システムに反映し、既定の結果を実現することができます。

3. サプライチェーンのデジタルツインによるセルフサービス展開が可能
、データサイエンスの世界では、「民主化」という言葉が飛び交っています。民主化とは、データはもう、専門家だけがアクセスでき、理解できるような閉ざされた場所にはない、ということを意味します。

データを民主化することで 得られるビジネス上のメリットは多くあります。例えば、市民データサイエンティスト向けに設計されたマイクロアプリケーションを展開することで、AIによる意思決定を民主化することができます。

このアプローチをでは、組織の意思決定能力とスピードを高め、データサイエンス特有の人的制約を回避することができます。

4. 変革は少しずつ起こるが、企業には包括的な展望からの指針が必要である
サプライチェーンの意思決定のほとんどは、「How do you eat an elephant?(どうやって大きな象を食べる?)」「One bite at a time.(一口ずつ。)」ということわざのように、少しずつ実装していくのです。

かつてはそれで順調に進めていました。しかし、最近は、市場環境の変化により、その企業が時代遅れになる恐れがあります。要するに、一挙手一投足に頭を悩ませる時間は無く、各プロセスを個別に管理する時間は無いのです。

デジタルサプライチェーンツインでは、包括的な計画のもとで、無数の選択肢を評価し、順序付けることができます。また、サプライチェーンの混乱を予測し、特定のプロセスを自動化または高速化する機会を見つけ出すことも可能です。

その結果何が起こるのでしょうか。業務に専念している間に、一口サイズの変革が自然に起こり、集約されていくのです。

5. 市場の混乱は今後も続く中、予測の重要性
スポーツと同じように、対戦チームのプレーに的確に対抗するため作戦帳を事前作成することは、サプライチェーンや企業文化を考えた場合も同じアプローチをとることができると言えるのです実際、混乱を伴う新しい基準に対応するためには、そのような戦略が必要です。

適切なシナリオを想定して不測対応計画書を作成することで、混乱が起きたときにも対応できる最適な体制を整備することにつながります。そして、デジタルツインは、この行動指針を構築するための貴重なガイドとなるのです。

混乱への備えはできていますか?デジタルツインの重要性

2020年代には、サプライチェーンのデジタルツインが必須となります。

デジタルツインは、企業が混乱に直面しても俊敏性と回復力を維持できるようにする唯一のツールなのです。