本記事は、「購買責任者はどのようにESG戦略を推進できるか (英語)」を元に作成した記事です。
世界は日々変化しています。
2020年に起きたCOVID-19の影響により、社会は大きく変化しました。世界中で社会生活の回復を試み奮闘している中、日常生活の多くの場面が新しい技術によって進化しています。
より良い未来を築くための責務は、もはや政府関係者や地域団体だけに委ねるべきではありません。気候変動、社会の経済的不平等、差別、倫理的消費など、現代の様々な問題に対処するためには、これまで以上に企業内の変革と意思決定が必要不可欠です。
企業は、ビジネス活動を通じて社会にポジティブな変化をもたらし、公益への貢献方法を変革する大きな可能性を秘めた特別な立場にあります。
企業にとっては変化を促すチャンス
近年、さまざまな業界のCEOや経営層が、ソーシャルインパクトを経営上の優先事項に組み込むための措置を講じています。多くの場合、社会的利益につながる取り組みは、最終的には企業収益にも結び付きます。例えば、サプライチェーンの物流管理を改善し、輸送に必要な燃料を削減することで、CO2排出量を削減すると同時にコストも削減できます。
企業にとって、最も有望で価値ある取引活動のひとつは、ビジネス上のあらゆる支出を管理することです。消費者が個人の支出で変化を促すのと同様に、企業も大規模な支出で、世界にポジティブな変化をもたらすことができます。
そのための最も明確な方法は、ビジネス・スペンド・マネジメント(BSM)戦略を、環境・社会・ガバナンス (ESG) 原則と意図的に連動させることです。このように、購買担当者や購買責任者(CPO)は、企業の社会的責任の領域に対し取り組み範囲を拡大することができます。
企業のESG活動における真実とフィクションの区別
まず初めに、ESGとは21世紀の流行やソーシャルメディア上だけのバズワードではないことを理解する必要があります。ESGは実際に変化を与えるのか、それとも単なる虚言なのか判断するためにも、ESGの影響は計測すべきであり、また計測できるように構築すべきです。
企業の環境保護や制度差別の撤廃に対する取り組みは、ますます重要性を増しています。社会と環境の側面において、企業が真の変化をもたらすことを人々が望んでいるのは、正当な理由があるからです。今こそ、顧客の希望を理解し、企業の変革を進める時です。
「次は何を改善するのか?」
「どのようにして達成するのですか?」
では、具体的に企業が支出に関する全ての意思決定をする際に、ESG基準を優先させるにはどうすればよいのでしょう?実現するためには、社内のどのステークホルダーの賛同が必要でしょうか?ESG投資とビジネスの成功はどのような関係にあるのでしょうか?
現状は、ほとんどの企業が何から始めるべきか理解しておらず、さらに言えば、多くの経営者は、ESGへの投資と収益の実現は対立していると考えています。
信頼できる購買で変化を実現
企業がポジティブな変化を生み出すための推進活動において、最も効果的な方法のひとつは、リソースの配分方法を見直すことです。
顧客も社内のテークホルダーも、ビジネス支出における意思決定の重要性を認識しています。顧客は、自身が支援する企業が実際にESG活動に投資しているか知りたいと思っています。
例えば、新しく購入したスポーツ用品が倫理的に製造されたのか、またパッケージは持続可能な素材で作られたのか知りたいと考えています。多様性の指標について問い合わせるのは、妥協ではなく、信頼性と具体的な変化を求めているからです。顧客は、自身が購入した製品やサービスが、世界を間接的に害しているのではなく、より良くしていると確信したいのです。
購買責任者はビジネス支出の管理者として、購買部門の指揮を執ることができます。パンデミックの期間中、購買責任者はエッセンシャルワーカーに必要不可欠な個人用防護具(PPE)を提供し、材料が極端に不足した時でも生産を維持することで、困難な状況でもビジネスを止めずに遂行する力を発揮しています。購買責任者はその力と管理範囲で、企業の購買力を活用し、大規模な変革を推進できます。
例えば、ビジネス支出を多様なサプライヤーに振り分けるプロセスやシステムを導入し、倫理的に調達された生産資材のみを使用することができます。
購買責任者がESG目標を収益の優先事項に統合する方法
消費者や投資家は、企業のビジネス支出がどのような影響を与えるのか注目し始めており、企業の取り組みとして、毎年発行するサステナビリティレポート以外の部分でも、改善できる取り組みがあります。
かつては、サステナビリティ責任者やダイバーシティ&インクルージョン・プログラムリーダーが適任だと思われていた業務が、今では購買責任者にとっても変革を進める上で重要な議題となっています。
購買責任者が具体的に行動する際に、ESGに与える影響と進捗状況を計測する重要な方法(英語)として以下があります。
- 多様性のあるサプライヤーへの支出を増やし、これらのサプライヤーへの支払いを迅速化
- すべての購入品とサプライチェーンにおけるCO22排出量の可視化
- サプライヤーの倫理的な商品と行動に関しての責任の遂行を追求
- 主要な測定基準におけるESGパフォーマンスを同業他社と比較評価する
多くの購買責任者は、BSMが持つ大きな可能性の実現を進める中で、様々な壁に直面するでしょう。管理下にある支出額が少ない部門は、多様なサプライヤーとそうでないものを区別することなく、事前に承認されたサプライヤーに支出を振り分ける業務に時間を割かれています。
すでに支出の可視化と管理ができている企業でも、リスクとコンプライアンスのデータは、購買プロセスとの統合が難しいケースがあります。しかし、購買チームがコロナ禍で残した結果や実績を踏まえれば、これらの障壁を打破し、より大きな効果をもたらすことができるはずです。
より賢い調達・購買は、現代の企業活動に全く新しい局面をもたらします。支出を可視化することで、企業は自社の資産を管理し、企業変革を最優先に進めることができます。
ESGの原則をビジネスの優先事項として捉え、一度限りの取り組みではなく、毎回の支出で私たちの住む世界を改善するための継続的な活動として捉えるべきです。
Coupaは、企業がよりスマートな支出を行い、社会に向けてより多くの有益な活動が実現可能になることを目指しています。変化は決して容易ではありませんが、持続可能で倫理的な、そして平等な世界を実現するためにも、Coupaはお客様と共に変革を推進していきます。