サービスとしてのコンプライアンス(CaaS)とは?

CaaS (サービスとしてのコンプライアンス)を理解するには、コンプライアンスが組織にどのように適用されるかを知ることが重要です。 コンプライアンスは、従うべき法律、規制、社内ポリシーを企業が遵守するときに発生するものです。業界独自であっても地域独自であっても同様です。 そのため、SOX法(サーベンスオクスリー法)、最新の英国SOX法GDPR(欧州の一般データ保護規則)、HIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)といった、多種多様の複雑なコンプライアンス要件と基準が生まれます。 企業が規則や規制に従わない場合、多額の罰金や罰則が科せられます。

規制は数が多く、複雑でもあるため、組織のリーダーが日々の業務の課題に直面しながら、規制に対応し続けるのは容易ではありません。 だからこそ、ソリューションにより何が得られるのかを知り、ソフトウェアにコンプライアンスが組み込まれているソリューションを探すことがとても重要です。

CaaSのテクノロジーの中には、製品の機能、プロセスの自動化、専門知識が組み込まれているので、組織は規制遵守とリスク軽減を実現できます。 利用するテクノロジーにコンプライアンスが組み込まれていない企業は、罰金や罰則などコンプライアンス関連のコストに直面する可能性が高くなります。 規制が複雑さを増すにつれ、コストとリソースを抑制できるこの種のテクノロジーに対し、需要や必要性が高まっています。

CaaSのしくみ

コンプライアンスを内蔵し自動化と専門知識を活用するソフトウェアが、組織全体での規制の遵守を可能にします。 組織のデータをリアルタイムに収集し、関連するコンプライアンスのルールや基準と照らし合わせると同時に、記録保存、報告、文書化といったコンプライアンス関連の複雑な業務を自動化します。 これにより、複雑で細かなコンプライアンス対応を専用ソリューションにまかせ、企業はコアとなる業務に注力できるようになります。

重要な機能:

  • カスタマイズ: ビジネスのニーズに合わせてソフトウェアを調整できます。 組織に適用される特定の規制に関するコンプライアンスポリシー、手順、ワークフローの作成などが含まれます。
  • 実装: ソフトウェアプロバイダーが企業内でのコンプライアンスフレームワークと戦略の実装を支援します。 コンプライアンスを確保するためのプロトコルの確立、ソフトウェアツールの設定、円滑な実装のためのパートナー確保の支援が含まれます。
  • 監視・報告: ソフトウェアが規制の変更を常に監視し、企業が規制の変更を遵守できているかを評価します。 レポートをすばやく作成し、コンプライアンス状況と改善が必要な分野についてのインサイトを提供します。
  • 専門知識: コンプライアンスに関するノウハウをもとに、事業に関わる規制についてガイダンスを提供し、コンプライアンスのギャップを埋め、リスクを軽減するための推奨事項を作成します。 プロバイダーは同業他社との経験があり、その他の専門家とも協力しています。
  • リスク管理: ソフトウェアプロバイダーが、リスク評価と管理のツールを提供し、遵守できていない分野や組織内の脆弱性を特定できるようにします。
  • 監査: レポート機能はすぐに利用でき、管理機能はすでに組み込まれています。ダッシュボードもカスタマイズでき、監査が簡略化されるので、企業はコンプライアンス基準を常に満たし、監査担当者に文書を簡単に提供できるようになります。
  • AI (人工知能): AIを活用した非常に高度なソフトウェアが、違反する行動やパターンを特定し、コンプライアンスの目標と全社的なビジネス戦略を達成するための推奨事項を提示します。

CaaSを導入することで、手動で行っているタスクの自動化や、適性評価の実施などが可能になり、効率化が進みます。それにより、企業は手動のプロセスや限られたリソースに縛られることなく、戦略的な業務に注力できるようになります。

コンプライアンスの複雑なニーズに対応する企業

コンプライアンスの目標達成をサポートするCaaSテクノロジーは、多くの組織、特にコンプライアンス要件が複雑な組織や、規制が厳しい業界で事業を展開している組織の力になります。 下記のような業界では、業界独自のコンプライアンス要件を考慮し、ニーズを評価する必要があります。

  • 銀行&金融サービス: 銀行、投資会社、信用組合などの金融機関は、SOX法、BSA(銀行秘密法)、PCI DSS(ペイメントカード業界データセキュリティ基準)、AML(マネーロンダリング対策)など、さまざまな規制を遵守しなければなりません。
  • テクノロジー&ータ管理: 顧客データを扱う企業、なかでも、テクノロジー、通信、eコマース企業は、欧州のGDPRやCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)といったデータ保護法を遵守しなければなりません。
  • 医療&ライフサイエンス: 病院、製薬会社、診療所、健康保険会社は、HIPAAやHITECH(経済的および臨床的健全性のための医療情報技術に関する法律)といった厳しい規制を遵守しなければなりません。
  • エネルギー&公共事業: エネルギー生産、公共事業、関連部門は、環境への影響、安全基準、資源管理に関する規制を遵守しなければなりません。
  • 小売り&eコマース: 顧客データの保管、決済処理、オンラインで事業を行う企業は、PCI DSSを遵守しなければなりません。
  • スタートアップ: 監査に準拠し、IPOに備えなければならないものの、リソースが少ない企業は、戦略的な成長に注力できるよう、コンプライアンス管理のための専門知識を必要とすることが珍しくありません。
  • 多国籍企業: 世界各国で事業を展開している企業は、複数の管轄区域に独自の規制があるため、コンプライアンスの複雑さがさらに増します。

この種の企業は、事業を監督する特定の規制やフレームワークを有しているため、コンプライアンスはビジネス戦略の中でも重要な要素になっています。 コンプライアンステクノロジーは、こうした企業が複雑な規制に上手く対処し、リスクを最小限に抑えて法的義務を遵守し続けられるよう支援します。

CaaSの利点

コンプライアンスの目標達成や罰則の回避といった分かりやすい利点だけでなく、CaaSには数々のメリットがあります。 このテクノロジーを活用している企業には、さらに次のような利点もあります。

  • 継続的なリスクを軽減: リアルタイムデータを監視し、コンプライアンスの手順とワークフローを確立することで、組織は事業運営の変化や成長に伴い、リスクを軽減、エラーを最小限に減らし、不正行為を検出できるようになります。
  • 新規市場への導入が簡単: 企業が新規市場へ参入、拡大すると、遵守すべき法律や規制も変わります。 CaaSがあれば、組織は事業だけでなくコンプライアンスの取り組みも拡大できます。
  • 新しい法的・技術的要件の遵守を維持: 関連する新しい規制について継続して監視することで、コンプライアンスを維持できます。
  • 手動プロセスの削減: コンプライアンス関連の手動業務を自動化することで、組織は時間のかかるプロセスを減らし、他の取り組みにリソースを割けるようになります。
  • 好意的な評価を維持: CaaSによって円滑化された一貫性のあるコンプライアンス慣行を通して企業は好意的な評価を維持できるため、ステークホルダーとの信頼を深め、規制当局との関係も改善します。

コンプライアンス要件を遵守できないことによるリスク

従う必要のある規制要件や業界基準を遵守できないことには、大きなリスクが伴います。

  • 罰則: 法律や規制に準拠できないと、多額の罰金、罰則、制裁が科せられる可能性があります。 これらの罰則は、法律、財政、経営、税制上の規則によって異なります。
  • 不正行為: 法律や規制を遵守していない企業は、不正行為の対象となるおそれもあり、法的な影響、評判の悪化、財政的損失、事業の中断、訴訟、人材の損失といったドミノ現象につながる可能性があります。
  • 劣悪な企業文化: コンプライアンス要件を満たせないと、社内外で影響が生じます。 倫理的な問題、企業の安定性や評判に対する不安があると、従業員のやる気の低下や退職につながる場合があります。
  • IPOの遅延: 規制を遵守していないと、法的な問題、不正確な財務報告、投資家からの信用低下が原因でIPOが遅れてしまう可能性があります。 また、企業価値の減損にもつながります。
  • 規制当局の精査: 企業がコンプライアンス規制を満たしていないと、監査が厳しくなります。 規制当局の精査には、企業が法律や基準を守れているかを評価するための監査担当者や規制当局による詳細な調査が伴います。 重大なケースでは、規制当局が企業の業務を制限したり、法令遵守が達成されるまで業務停止命令が出されたりすることもあります。 また、契約、入札、提携に参加できなくなる可能性もあり、そうなると成長の機会が制限され、競争力を維持できなくなってしまいます。
  • 是正にかかるコスト: コンプライアンスの問題を修正するには、罰金のほかにも多額のコストがかかります。 これにはコンサルタントへの報酬、新システムの導入や規制基準を満たすためのプロセス再構築にかかる費用などが含まれます。

CaaSが組み込まれたP2Pプラットフォームを選ぶ

企業ではデジタル化と自動化が優先的に行われていますが、コンプライアンスも同等に重要です。 企業がP2P(調達から支払い)の変革を進める際は、CaaSが機能として組み込まれた包括的なP2Pプラットフォームを有する戦略的なパートナーを探すべきです。 プロバイダーを選ぶ際の優先事項は次のとおりです。

  • ソリューションの完全性: 利用するプラットフォームは、上場企業のレポーティング、コンプライアンス、監査要件を容易にサポートできなければなりません。 完全なP2Pプラットフォームには、ERPとのシームレスな連携を可能にし、コンプライアンス、出納管理、支払い、経費、旅費など、主要な財務ニーズを満たす機能が搭載されており、IPOの評価であれ、将来の流動性イベントの評価であれ、企業の成長をサポートできなければなりません。 ソリューションが企業とともに成長し、現在そして将来の組織の進化と成熟をサポートすることが重要です。
  • 高い実績: 利用するプロバイダーには、財務的に健全で、安定した経営、複雑なコンプライアンスのサポート、幅広い業種の顧客の照会が可能で、従業員数が50人から200人以上に増えた企業との業務経験があるところを選ぶべきです。 今後の企業成長を念頭に置けば、IPOへの準備、監査要件、M&A(合併・買収)活動にも対応できるプロバイダーを選ぶ必要があります。
  • 強力なデータ分析、レポート作成、ダッシュボード機能: 数字は嘘をつきません。だからこそ、信頼性が高く、一貫性のある最新のデータを持つことが、組織のコンプライアンス、健全性、成功に不可欠です。 法令を遵守し正確性を確保するためには、データの分析、傾向の評価、統制の確立、詳細なレポートの迅速な作成を可能にする、単一の情報源となるプラットフォームが必要です。 改善につながるインサイトと主要なベンチマークを提供する包括的なデータ分析ができるソリューションがあれば、業務を最適化し、業績を向上させることができます。
  • 多様なユースケースに対応: 急成長企業の多くは、成長の初期の段階でソフトウェアを購入しますが、そのニーズは事業の拡大に伴い急速に変化する可能性があります。 セールス部門は、拡大する営業地域を管理するために直感的に使用できる強力な旅費・経費ソリューションを必要とします。 従業員が増えれば、ラボ用品や事務用品のニーズも飛躍的に高まります。 彼らがルールを守って購入していることをどうすれば確認できるでしょうか。 購入頻度や購入量が増えれば、サプライヤーとの交渉、支払い方法の戦略的な管理、社内外の支払いの管理を行う機会が見えてきます。 国際的な事業拡大は、ビジネスチャンスをもたらすと同時に、複雑さももたらします。 購入と支払いのプロセスは、どこで事業を展開するかに関係なく、コンプライアンスの目標に沿ったものでなければなりません。

Coupaによる支援

Coupaの統合型P2Pプラットフォームは、先に述べた強力な機能を有しているだけでなく、調達ライフサイクル全体にわたって比類のない可視化とコントロールも提供します。 すべてのP2Pアクティビティを1か所にまとめ、データ分析とレポート作成用の単一の情報源を提供します。 コンプライアンス、リスク管理、サイバーセキュリティが組み込まれた完全なP2Pソリューションに加え、Coupaのプラットフォームは、コンプライアンスのガイダンスと継続的な監視を行う、他の追随を許さないプロのコミュニティとAIテクノロジーでさらに上を行きます。

Coupaは次のような数々の規制を遵守するためのサポートを行います。

  • SOC 1
  • SOC 2
  • ISO 27001
  • ISO 27701
  • PCI
  • HIPAA
  • FedRAMP Moderate
  • ITAR/GovCloud
  • TISAX
  • APEC PRP 
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