大企業における購買領域DXの現状
MonotaROでは、ユーザー企業へ調達購買に関するアンケート調査を実施しました。
年商の規模が大きくなるにつれ、調達購買の専門部署を設置している割合が増え、関与する人数も増える傾向にあります。年商5,000億円以上の企業では、50名以上の構成が7割を超えており、購買業務の重要性の高さがうかがえます。加えて、モノタロウの利用状況を加味すると、企業規模が大きくなるほど、購買システムを経由した利用が増えることが分かります。
購買領域での課題を尋ねると、全体を通じて「コスト削減」に重点を置いており、特に間接材に限定すると「購買プロセスの効率化」を重視することが分かりました。一方、年商1,000億円以上の企業では「購買業務DX」や「ガバナンス強化」といった要素を重視する傾向も見受けられます。
これらのアンケート結果から、企業規模が大きくなるほど、関わる社員や事業範囲が広く、業務の標準化や自動化を行うためのDXが必要だと分かります。
調達購買領域では、デジタル変革により25%から50%のコスト削減と生産性向上が期待できると言われています。特に間接材領域は、システム活用とデータ活用による継続的な改善がしやすく、あらゆる部署や社員が関わるため、大きな効果が期待できます。加えて、自社固有の要件が少なく再現性も高いため、その効果が得やすいです。
間接材購買の課題解決はカタログ活用が鍵
そもそも間接材にはどのような特性があるのでしょうか。ヘッド商材は取り扱う品目が20%に満たないため、相見積を取って安く買う手法が有効でした。
一方、ロングテール商材は全体の購買金額の20%しかないため、なかなか目をつけない領域ですが、品目数が多く業務の手間がかかっています。屋敷氏は「単価が安く、業務工数がかかるこの領域が、当社のようなカタログサービスが有効な領域と言えます」と話します。
間接材における購買の問題は大きく2つあります。1つ目は、ロングテール資材は低頻度、小ロット、安価という理由から、購買しづらいことです。モノタロウの利用実績を見ても、年に1回しか購入しない資材は70%、5個以下のものが80%、単価1万円以下のものが85%となっており、細かい領域であることが分かります。
2つ目は、購買が全国で発生していることです。拠点ごとに小口の仕入先や請求書の処理があり、そのプロセスが煩雑になっています。特に大企業では、拠点ごとに購入方法が異なることで、ブラックボックス化や属人化を招く傾向があります。
分散領域で外部ECサイトを活用
では、間接材購買の課題をどのように解決すべきなのでしょうか。ここでは間接材の性質を4つにグループ分けして考えます。
ロングテール領域はいわゆる「多×多」で、多くの部門が多くのサプライヤーからバラバラな仕様で調達しています。そのためシステムで主要なサプライヤーを集約し、仕様を標準化することで、業務効率化やスケールメリットが期待できます。
一方、ヘッド領域はいわば「1対1」で、特定部門が特定のサプライヤーと取引しています。そのため長期間にわたって見直されず、交渉に時間がかかるため、手が付けづらいです。
間接材全体での改革には「分散領域での外部ECサイトの活用が有効」と屋敷氏は話します。外部ECサイトで調達することで、業務工数を削減でき、その工数を長期固定領域での交渉に投入することで、間接材全体の改革につながります。そのためカタログ購買のDXから進めることが重要です。
従来の統合された調達システムがない場合、パンチアウト接続がしづらくなります。パンチアウトの有効活用には、Coupaのような統合されたプラットフォームを導入し、そこへカタログサイトを連携することが効果的です。
カタログサイトの連携により、価格の透明化による比較購買、業務プロセスの統一化、ガバナンスの徹底を実現できます。こうしたパンチアウト接続では、カタログのメンテナンスはサプライヤーが対応するため、メンテナンス工数も削減できます。
パンチアウト連携先の選定ポイント
パンチアウト連携先を選ぶ上で重要なのが、品揃えとサポート体制です。カタログサイトの利用者は、全国の様々な部署に属しているため、多彩な要求が生じます。こうした要求に応えるためにも、品揃えの豊富さは欠かせません。
また、新しい購買システムになることでユーザーは不安が伴います。そのためユーザーへの安心感につながるよう、聞きたいことを相談できるサポート体制が整備されていることも重要です。
パンチアウト連携では「『何社のカタログとつなげばいいか』という問い合わせを多くいただく」と屋敷氏は話します。カタログサイトはサプライヤーごとに特徴が異なりますが、多くの企業ではユーザーのシステム利用率を高めるために、多彩なカタログサイトへの連携を選択するケースが増えています。
このように、パンチアウト連携によるカタログ導入・利用率向上により、分散領域の工数を削減することが重要と言えます。ここで効率化できたリソースを、工数をかけるべきヘッド領域の改革へシフトするのです。
モノタロウでは間接材を中心に16,000メーカー、2,000万点と多彩な品揃えを実現しているほか、大企業向け専用のコールセンターを設置し、サポート体制を整備しています。Coupaとモノタロウの連携が、購買DXの第一歩になるのかもしれません。