ユーザーとして使い慣れたサービスをビジネスでも利用

アメリカで行われた企業購買の実態調査によると、BtoB企業の9割が従来のオフラインの購買よりもECの購買を好んでいることが明らかになりました。一般消費者として普段の生活の中で利用しているECサイトは使い勝手がよく、企業活動の中にも取り入れられ、次第に調達購買にも活用されていることがうかがえます。

こうした背景もあってか、Amazonビジネスは急成長を遂げており、現在日本を含む9ヶ国で展開され、その売上高は約5兆円規模。一般消費者向け商品と同様のものを扱っていますが、法人向けに特別な価格を設定した商品も扱われています。商品購入にはレポート機能を搭載しており、管理者はカートに入れられた商品の数量や時間、その購入の承認者と承認時間などを収集して確認でき、購買履歴データとの突合に使用することも可能です。

さらに請求書払いや検収払いにも対応しており、デジタルインボイスも利用できるほか、システム連携によりCoupaなどとデータのやり取りもできます。通常のAmazonのような、お急ぎ便や日時指定便などの配送特典も無償で利用できるだけでなく、カテゴリ単位で特別なメッセージの表示や承認プロセスの分岐、カテゴリそのものを非表示にするといった購買コントロールも可能です。

AmazonビジネスがCoupaとの連携で進める間接材購買改革とは

デジタルインボイスで購買後処理を自動化

Amazonビジネスでは、デジタルインボイスに対応しています。デジタルインボイスを活用することで、ポストパーチェスの自動化を促進することが可能です。

従来の購買では、サプライヤーに個々に見積もりを依頼し、発注から注文確認、請求というフローがありました。なかには紙やPDFの請求書が届き、それらを突合して会計システムへ手打ちするケースも存在しています。これをデジタルインボイスに移行すると、発注するとデジタルインボイスが自動発行され、Coupaを介して会計システムへ連携し、支払いまでの処理を自動化することが可能です。

AmazonビジネスがCoupaとの連携で進める間接材購買改革とは

内部カタログから外部カタログへの移行でコスト削減と効率化を実現

Amazonビジネスでは間接材の中でも金額が小さいものの購入件数が多い、いわゆるTailカテゴリから利用されるお客様が多くなっています。Tailカテゴリでは金額の割に工数がかかるため、Coupaなどのシステムと外部カタログ連携するのが一般的です。

そうした中進んでいるのが、従来内部カタログに属するようなHeadカテゴリの外部カタログ化です。コスト高騰による価格改定などを背景に、内部カタログのメンテナンスが追いつかないケースが多く見受けられます。

「業務工数を割かずメンテナンスフリーで接続される外部カタログの品質が良くなったことで、汎用品でも要求部門に応えられたり、代替できたりするケースが増えています。実際、内部カタログから外部カタログへの移行を購買改革プロジェクトの主目的に据える事業者も出てきています」と小野田氏。

AmazonビジネスがCoupaとの連携で進める間接材購買改革とは

Amazon社自身もCoupa連携で外部カタログ化に取り組む

Amazonビジネスを活用した購買システム改革は、大手企業でも進められています。大手飲料メーカーで取り組まれた購買システム改革では、外部カタログのサプライヤーを絞りながら、内部カタログから外部カタログ化への移行を進め、管理効率化が図られました。インボイス制度の施行に合わせ、Amazonビジネスの利用を始めたことで、購買ガバナンスの強化やコスト削減などが実現されました。

大手飲食店チェーンの事例では、店舗で使用する自社ロゴが不要な備品などの購入にAmazonビジネスを利用しています。加えて、従来備品を管理していた自社倉庫の保管業務をAmazonの在庫管理・物流配送へ移管。これにより、従来定期便での流通しかなかった備品が、登録後翌日に届くようになり、利便性が向上しました。

Amazon社内でもCoupaの内部カタログを利用しています。その中で課題となっていたのがメンテナンスでした。そのためAmazonでは内部カタログの中でより多く発注しているバイヤーに個別にインタビューを実施。Headカテゴリでありながら外部カタログに移行できるものを個別に調査し、順次移行を進めています。

AmazonビジネスがCoupaとの連携で進める間接材購買改革とは

外部カタログ化に向けた調査を無償支援

内部カタログから外部カタログへの移行や、外部カタログサプライヤーの絞り込みには、サプライヤーごとにその品揃えと価格の調査が必要となります。

そのためAmazonビジネスでは、これまでお客様が購入された商品リストから、Amazonビジネスでの掲載有無やその商品の価格、代替できる商品の有無を無償で調査し、結果を提供しています。この分析により、カテゴリ単位でどのサプライヤーが有利であるかが分かり、外部カタログに接続するか否かの判断が可能です。

加えてAmazonビジネスでは、内部カタログへの対応も進めています。お客様向けの専用価格の設定や都度見積の購買機能を実装。さらに購買システムの見積機能を使うことで、複数のサプライヤーに同時に相見積を取るフローに対応するほか、Amazonビジネス内でも相見積機能を実装するなど、より使いやすく、便利なサービスを提供しています。

AmazonビジネスがCoupaとの連携で進める間接材購買改革とは

使い勝手の良いAmazonを法人利用できるAmazonビジネス。その利用が、企業の利便性向上やコスト削減を実現するだけでなく、外部カタログの拡充といった購買システム改革への足がかりにもなります。AmazonビジネスのCoupa連携は、間接材購買の最適化における第一歩となるかもしれません。