依頼をこなす“受け身”のスタンスから、先手で予測や選定管理が必須に
Infosysグループとしての連携により、海外の調達事情にも精通する浅海氏は、企業が抱える調達に関する課題について言及。「海外が先行する形で、調達業務の標準化・効率化・デジタル化によるリソースのハイバリューシフト、およびオペレーション業務の外部化が進行しています」とし、日本でも労働人口の減少や高度・複雑化するサプライチェーンへの対応などを受け、同じく変容が求められるものの、改革への取り組みには遅れが見られると指摘します。
その背景として、日本企業における調達部門の現状を見ると、戦略立案からオペレーションの実行まで、広範囲に渡る調達業務を同じバイヤーが一貫して従事。結果、「煩雑なオペレーション業務への対応や細かな納期調整など、付加価値の低い業務にコスト、リソースを割かざるを得ず、ハイバリューシフトへのハードルになっています。」(浅海氏、以下同)
一方、海外の先進事例では、従来型の調達のあり方を脱し、外部リソース(BPO)の導入を始め、企業・組織に対する価値創出のエンジンとなるための変革が加速。
「従来の調達のスタイルは、依頼があったものをこなしていくといういわば“受け身”のスタンスでした。しかし、これからの調達業務は先手で、予測や選定管理を実践していくことが肝となります。」
コスト配分でいえば、「ピラミッド型からバリューダイヤモンド型へのシフト」が求められると指摘。オペレーションに最も工数がかかるピラミッド型の組織構造から、オペレーションをアウトソーシングし、価値創出に重きを置くバリューダイヤモンド型へのシフトがグローバルなトレンドになっているといいます。
End to Endで顧客の多様なニーズに対応し長期スタンスでサポート
HIPUSでは調達のバリューダイヤモンド型へのシフトをサポートする、以下のようなサービスを展開。
1つが「調達業務・DX改革支援コンサルティング」。2つ目が「調達BPO」、3つ目が「間接材の調達サービス」。その一環として、Coupaのシステム導入の支援なども実践しています。
これら同社サービスの特徴の一つが、「End to End」で顧客の多様なニーズに対応し、長期スタンスでサポートを実践すること。
「例えば間接材調達のEnd to Endサービスでは、単なるオペレーション業務の外部化に留まらず、分析・戦略の立案、カタログ化による集中購買など複数のサービスを組み合わせた総合的なコストダウンをターゲットに、各サービスのより高度化させるデジタルソリューションの導入を行っています。」
また、デジタルソリューションの導入については、「可視化による顧客との認識共有」を重視。同社が長年の間接材・系コスト削減において培ってきた分析ノウハウを体系化したHIPUSオリジナルのスペンドマネジメントツールを提供し、プラットフォーム上での間接材・経費の支出状況、カテゴリ別プロファイル、コンプライアンス評価などを可視化。顧客と共通認識を醸成し、コスト削減機会について自分事として認識してもらうアプローチをとっています。
アウトソーシング(HIPUS BPO)においては、一般的な業務委託に加え、Buy-sell形式(購買受託型)での契約にも対応。直接材に重きを置いたリソース管理を目指す際など、ニーズに合わせて契約スタイルを選べるのも同社の特徴だといいます。
BPOで間接材調達をサポート。Coupaが実現するリソースの最適活用
浅海氏は、HIPUSにおけるCoupaに関わる支援サービスについても言及。「現在は、Coupa導入後のお客様に対し、展開や運用、オペレーション全般のサポートを行っています。」
Coupaサービス事例として、「サプライヤ展開サービス」と「運用保守サービス」の2つを紹介。
1.サプライヤ展開サービス
新しいプラットフォームを導入する際、必要となるのがサプライヤ側の新たなプラットフォームへの乗り換え、登録作業。しかし、企業の規模によっては取引のあるサプライヤが数万社にも及ぶケースもあり、その全てに対する導入依頼だけでも大変な負荷がかかります。
そこで、サプライヤー展開体制の構築に関し、同社では過去の豊富な経験値を活かし、サポートチームを設置。チームの組織化、ツールの用意といった効率化を実践し、早期のサプライヤーサイドのオンボーディング進行が実現します。
2.運用保守サービス
導入後の社内ユーザやサプライヤの問い合わせ管理システムとして、「ヘルプデスク」「運用・保守」の2つのサービスで構成。
属人的かつ煩雑な業務は社外に委託することで、「戦略立案やソーシングの強化といった付加価値の高い業務へのリソースの振り分けが可能となります」。
さらにHIPUSでは、30か国以上に拠点を擁するInfosysグループのネットワークを活用したグローバル展開支援を実施。グローバルでCoupa活用を考える顧客に向けても、理想とするコストダウンや業務工程の効率化をサポートしています。
今後はさらに上流の導入前の構築領域までサービスの拡張を目指しているという浅海氏。これからCoupa導入を検討していくという方にとっても、大きな味方となってくれそうです。