フランス・パリに本社を置くグローバルメーカー、Compagnie de Saint-Gobain S.A.(以下、「Saint-Gobain社」)は、世界中で数多くの有名ブランドを展開しています。同社は、2050年までのカーボンニュートラル達成をミッションに掲げており、サプライチェーンを最適化することで、目標達成に向けた着実な成果を上げています。

Saint-Gobain社では、バリューチェーンにおける直接・間接的な二酸化炭素排出量を削減し、2050年にカーボンニュートラルを達成することを目指す「ネット・ゼロ・カーボン」イニシアチブを展開しています2050年までのロードマップでは、2025年と2030年に中間目標を掲げ、数段階にわたる計画を立てています。同社はこれまでも目標を順調に達成し、2010年から2025年の間にScope1とScope2の排出量を20%削減する予定です。

このカーボンニュートラルへの公約は、Saint-Gobain社のあらゆるレベルの行動と意思決定の指針となっています。同社の新たな戦略計画「Grow & Impact」は、環境にプラスの影響を与えながら、同社の成長を加速させることを目的としています

「我が社のビジョンは、軽量で持続可能な建築物の世界的リーダーになることです。ネットゼロ,カーボンニュートラルに向かう世界の中で、Saint-Gobain社は建築関連のCO2排出量を40%大幅削減、天然資源の保護、新興国での急速な都市化問題という、現代の3大問題に対処するあらゆるソリューションの提供を目指します」とSaint-Gobain社の最高経営責任者Benoit Bazin氏は話します

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輸送の最適化がサプライチェーンの排出量削減のカギ

Saint-Gobain社が注力している分野のひとつに、製造・流通事業における輸送の環境負荷があります。2012年、Saint-Gobain社の子会社Saint-Gobain Building Distribution Franceでは、配送ルートや注文のグループ分け、2階建てトラックや天然ガス車、電気自動車によるモーダルシフトを最適化する取り組みとして「Evoluvert」を開始しました。これにより、これまでに25,000トン以上の排出量の削減を実現しています。

マサチューセッツ工科大学交通・物流センターとSaint-Gobain社のFabricio Saraiva Moreira氏による、持続可能なサプライチェーンに関するオンデマンド・ウェビナーをご覧ください

現在、このモデルは世界中のさまざまな部門に拡大しており、特にアルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、メキシコ、ペルーなど、LATAMの事業で大きな成果を上げています。LATAMの中で最大の事業展開国であるブラジルでは、輸送ルートの最適化により大きな効果が得られました。Saint-Gobain社は、1.7キロメートル以上の高速道路、3,900の輸送ルート、13,000以上のネットワーク構成の候補から、主要な物流ネットワークを分析し、ブランド間のサプライチェーンの相乗効果を確認することができたのです。Saint-Gobain社のLATAM地域オペレーション・エクセレンス・ディレクターのFabricio Saraiva Moreira氏は、「あるポイントで、2つの事業体が同じルートで、同じ都市や州にいる顧客に商品を輸送している可能性があります」と語っています。

これらの取り組みは過去1年間に60以上のプロジェクトに適用され、Coupaのサプライチェーンモデラ―を活用したこれらの取り組みにより、サンゴバンの一部のブランドでは40~60%の輸送排出量の削減を実現しました。

輸送コントロールタワー

オペレーションを最適化し、成果を上げるための鍵となるのが「輸送コントロールタワー」です。LATAMの事業では、コントロールタワー・チームが複数の産業事業から支援を受け、企業間の協力関係を見出すことで物流の流れを最適化することを目指しています。

このコントロールタワーのコンセプトは、2016年に同部門が輸送ルートの分析と最適化のために外部のコンサルティング会社の支援を受けたときに初めて展開さ れました。その後、すぐに成果が得られたため、Saint-Gobain社はマネージャーとアナリスト3名を雇い、フルタイムで経路の最適化に取り組んでいます。2019年にはLLamasoft(現Coupa)を導入し、このコンセプトを他の国にも拡大するようになりました。

Saint-Gobain社ではベンチマーキングを利用し、各事業の輸送モデルを比較していますが、各ブランドの個別のミッションや目標に干渉することなく、潜在的な相乗効果を活用することを目指しています。

「当社は複数の事業を手がける企業です。そのため、各事業部の自律性を維持し、計画やスケジュール、日々の業務に干渉しないようにしたいと考えました」とMoreira氏は述べています。

同社は、組織の全体像を把握し、輸送における機会の特定と分析に専念する人材を集めてチームを編成することで、ビジネスユニットの自律性を確保しました。現在、同組織にはコストと排出量という2つの主要なKPIの削減を推進する16のビジネスユニットがあります。このチームは、地域全体のシェアードサービスとして、ビジネスユニットのニーズを理解し、シナリオを提案するために活動しています。

コントロールタワー・チームとコーポレート購買、そして各事業部門を統合することで、組織としての卓越性に向けた連携を図ることができると、Moreira氏は話しています。

持続可能な意思決定に向けて

Saint-Gobain社は、、輸送最適化構想のデザインと実行をサポートするためにCoupaを使用しています。コストと意思決定の評価を行うために、同社は事業部門の役員にさまざまなシナリオを提示して評価させ、最終的にニーズに最も適したものを選択させることができるようになったというのです。

例えば、サプライチェーンの担当者が新しい物流センターをどこに作るか相談したとき、データやアナリストが、持続可能性やCO2排出量も考慮した最適な決断を下すことができるようになりました。

「自分たちにとって最適な決断を下すことができます。こうしなければならないというルールはありません。2025年、2030年、2050年に向けて設定された目標に基づき、各企業が取り組むべきインパクト指標があります」とMoreira氏は言います。

Saint-Gobain社では、最も持続可能な選択肢を明らかにするために、排出量計算機を用いた3PLとのパートナーシップにも取り組んでいます。その結果、小売事業で4台の電気自動車を導入したほか、トラックに天然ガスや太陽光パネルを使用する検討にも弾みがついています。また、2020年10月からは、各国の輸送・排出係数を迅速に分析できるプロジェクトも開始しました。また、Saint-Gobain社では、他の企業に対しても、復路の空走距離を減らす機会を模索しています。最近では、ハイネケン社とのコラボレーションにより、40%の排出量削減に成功しました。

Coupaは、お客様がより大きな持続可能性を達成し、お客様のビジネスおよび幅広いコミュニティに測定可能なインパクトを提供することを支援します。このプラットフォームにより、お客様はESG目標に向けたインサイトとサプライヤーのデータを連携させ、サプライチェーンのルートを最適化し、排出量を最小化することができます。

Coupaがどのように企業のサステナビリティの実現を支援、貢献しているのか、詳細については2021年度 環境・社会・ガバナンスレポート をご覧ください。