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Coupa Inspire World Tour Tokyo 2026 イベントレポート

1. イベント実施結果 (Event Results Summary)

「Coupa Inspire World Tour Tokyo 2026」は、Coupa 株式会社の主催により、2026 年 7 月 24 日(金)に東京のインターコンチネンタルホテル等にて開催されました。Coupa の生誕 20 周年を記念する節目の年として、日本における「支出管理(BSM)」の認知向上と、AI エージェントが牽引する「自律型支出管理」の未来ビジョンを提示する場となりました。

表_実施実績

 

2. 基調講演 (Keynote Session)

当日、基調講演会場の様子

当日、基調講演会場の様子

「ネットワーク効果 ― つながりが生み出す集合知」をテーマに、Coupa 日本法人社⻑の反町、グローバル CPO の Rajiv、Customer Success SVP の Suzanne、そしてゲストスピーカーの三菱重工業株式会社の岩松部⻑が登壇し、AI によって大転換期を迎える支出管理(BSM)の未来を提示しました。

 

■ SaaS から AGaaS(Agentic-as-a-Service)への進化:

Coupa 株式会社 代表取締役社⻑の反町浩一郎は、Amazon 等のコンシューマーモデルを引き合いに、1社が加わるたびにデータが豊かになりコミュニティ全体に還元される「ネットワーク効果」を B2B 取引に適用する意義を強調。世界 3,200 社以上の導入実績、1,000 万社を超えるサプライヤー、年間 1,600 兆円(10 兆ドル)の累積取引ビッグデータ(節減効果 48 兆円超)を背景に、単なる記録プラットフォームである SaaS から、AI エージェントが自律的に実行して成果をもたらす『Agentic-as-a-Service(AGaaS)』へとシフトすることを力強く宣言しました。

基調講演する Coupa 社⻑の反町

基調講演する Coupa 社⻑の反町

 

■ 完全自律型支出管理「Coupa Compose」の発表:

Coupa Software Inc. SVP で Invoice to Pay 領域の最高製品責任者(CPO)である Rajiv Ramachandranは、支出管理特有の AI プラットフォーム「Coupa Compose」を発表。ノーコードで自社独自エージェントを構築する「Navi Agent Studio」、Tonkean 社のフロントドア技術を融合した「Smart Intake &
Orchestration (SIO)」、API および MCP 規格に対応して他システム連携をセキュアに行う「NaviConnect」という 3 層構造を紹介。さらに、Rossum 社の買収により、ドメイン特化型言語モデル「T-LLM」を活用した 1 分未満での超高精度請求書データ抽出&自動仕訳による AP オートメーションを発表しました。また、Cirtuo 社の技術を統合した「Coupa Category Strategy」により、自然言語の対話だけでカテゴリー戦略のドラフトからソーシングまでを自律実行するロードマップを示しました。

Invoice to Pay CPO の Rajiv Ramachandran と製品デモを行う Sr. Solution Advisor の内浦大海

Invoice to Pay CPO の Rajiv Ramachandran と製品デモを行う Sr. Solution Advisor の内浦大海

 

■ 成果の社会実装を支える「Coupa Catalyst」:

カスタマーサクセス担当 上級副社⻑の Suzanne Bourdeaux からは、優れたテクノロジーの進化を顧客が確実に吸収して実質効果を創出するための顧客体験「CX360」と、成果創出まで専門エンジニアがチームに入り込んで⻑期伴走する「Coupa Catalyst」プログラムが提唱されました。

 

■三菱重工業におけるグローバル 141 社変革ストーリー:

特別ゲストとして登壇した三菱重工業株式会社 バリューチェーン本部 SCM 部 部⻑の岩松弘記氏は、日本企業では初となる「トレンドセッター‧アワード」を 5 月にラスベガスで受賞した経緯を発表。グローバル 141 社への Coupa 展開を完遂した歩みの中で、欧州展開で現場代表との合意形成に難航した壁を、経営会議の大綱了承を得た「トップダウンの決定」へのシフトで打破した軌跡を共有。さらに外部コンサルへの依存を排し、フィリピンのグループ会社へ導入スキルを移転(内製化‧リモート展開)してグローバルサポートの一元化を成し遂げ、現在は AI 不正検知「Spend Guard」で多通貨‧二重請求をタッチレスで自動検知している実績を語りました。

三菱重工業 岩松氏と Coupa 社⻑の反町との対談の様子

三菱重工業 岩松氏と Coupa 社⻑の反町との対談の様子

 

3. お客様登壇セッション

Inspire World Tour Tokyo 2026 では、日本の各業界をリードする先進 4 組織(INPEX 様、学校法人立命館様、アドバンテスト様、コカ‧コーラ ボトラーズジャパン様)の変革実践リーダーたちが、それぞれ直面した固有の課題とそれを乗り越えたチェンジマネジメントの実践知を語りました。

 

① INPEX 様: 調達改革を成功に導く、ものすごく泥臭く、ものすごく大切なお話 〜「Fit to Standard」を貫き通したプロジェクトの裏側

左から Coupa 黒木、INPEX 中川氏、アビームコンサルティング 川俣氏

左から Coupa 黒木、INPEX 中川氏、アビームコンサルティング 川俣氏

 

【背景と反省】株式会社 INPEX、Supply Chain Unit, Supply Chain Planning Group, Deputy Managerの中川洋一氏は、アビームコンサルティング(川俣俊輔氏)との協創プロジェクトを解説。過去の SAPERP 導入時に既存業務の踏襲と超カスタマイズを行った結果、その後の設定変更のたびに膨大な影響調査‧テスト工数と莫大な保守費用を支払うことになった反省を踏まえ、S/4 HANA 移行と並行したCoupa 導入では「Fit to Standard(標準プロセスへの合致)」を絶対規律として設定しました。


【チェンジマネジメントと成果】要件定義の際、現場への「どうしたいですか?」というヒアリングを明確に禁止し、「標準フローはこれですが、業務上止まる本質的な障害はありますか?」というフィットギャップ設計に徹底。しかし論理でねじ伏せるのではなく、東京から新潟などの地方現場事業所へ片道 3〜6 時間かけて何度も足を運び、徹底的に膝を突き合わせる対面コミュニケーション(顔を見て本音を語る)を実施。現場が本当に守りたい『感情とこだわり』を真摯に受け止めつつ、それ以外を標準機能へ適合させました。結果、稼働わずか 4 ヶ月強で通常取引先の 90%以上(601 社)のスムーズなオンボーディングを完了し、バイヤーの 7 割、全社の 3 割が 1 トランザクションあたり 15〜30 分以上の業務時間短縮を実感しています。

 

② 学校法人立命館様: 紙 100 万枚・13,000 時間の削減はいかにして実現したか? 〜立命館が挑んだ 1,000 名規模の購買業務改革〜

左から Coupa 浅野、立命館 野口氏、野村総合研究所 田畑氏

左から Coupa 浅野、立命館 野口氏、野村総合研究所 田畑氏

 

【会計基準の克服】学校法人立命館 財務部 財務経理課 課⻑の野口公彦氏と、野村総合研究所(田畑貴大氏)が登壇。学校法人は「学校法人会計基準」に定められた「原則内税管理」であるのに対し、グローバル支出管理プラットフォームである Coupa は「外税処理」が標準であるという大きなギャップが最大の難所でした。この課題に対し、システム間にデータ連携基盤「Boomi」を仲介させ、外税データと内税データの相互自動変換システムを構築することで技術的ハードルをクリアしました。

 

【チェンジマネジメントと成果】10 拠点、1,000 名規模の購買業務を改革するにあたり、「紙とハンコで分断された少額‧多頻度発注(全体の 90%を占める 100 万円未満の取引)をカタログ購買(Web 購買)にシフトすれば、3 点照合の自動化により、現場にとって最も面倒だった出金業務そのものが不要になる」という現場に大きなリターンを返す運用ルールの見直しを実行。さらに、開発段階から現場のコアユーザーを巻き込み、操作上の躓きが生じやすい場所には DAP(デジタルアダプションプラットフォーム)の操作ガイドを先回りして配置。年間 100 万枚の紙削減、13,000 時間の作業時間削減を達成し、現在は調達‧購買と債務全体をカバーする「契約‧債務統合組織」への改編を進め、浮いたリソースを「教育‧研究活動の高度化」へと投資するグランドデザインを進行中です。

 

③ アドバンテスト様(野村総合研究所様セッション): グローバル標準化を目指すアドバンテストの挑戦 〜Coupa 活用による直接材購買の革新〜

アドバンテスト 竹内氏

アドバンテスト 竹内氏

 

【グローバル一元化】株式会社野村総合研究所のセッションに同社の加藤理聖氏、笠原孝氏、櫻井 万菜氏と共に、株式会社アドバンテスト IT ソリューション部 ビジネスパートナーポータルグループ課 課⻑の竹内良介氏が登壇。老朽システムや内製システムの刷新に際し、ドイツ等の各海外拠点で個別最適化‧乱立していたシステムを、グローバル統一プラットフォームとして Coupa に一元化する挑戦を行っている経緯を説明しました。


【直接材の高度な設計】生産活動に直結する直接材調達領域において、需要予測を調整する「Forecast Collaboration」、分割納品に対応する「PO Collaboration」、支払通知書に基づく請求書自動照合「ERS」のフル活用を前提に、システム構成を「PLM(製品構成・図面管理)」「Coupa(見積‧請求‧ERS)」「MRP(フォーキャスト)」「ERP(マスタ管理・発注)」「WMS(検収)」と役割を明確に整理。PLMから Coupa に図面を自動連携させ、サプライヤーへの見積依頼時に自動で配信する仕組みや、PO 帳票に WMS の検収用バーコードを自動配置する設計を行うなど、直接材プロセスのトランザクションの自動化による省力化・人的ミスの削減と、納期遅延リスクの早期発見・対処の実現を目指す取り組みについて紹介しました。

 

④ コカ‧コーラ ボトラーズジャパン様: データに最適化で変革するサプライチェーン〜SCGX を活用した意思決定の進化と実践の取り組み〜

コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社 デジタルサプライチェーンシニアグループ統括部 ⻄崎氏

コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社 デジタルサプライチェーンシニアグループ統括部 ⻄崎氏


【2024 年問題と最適化アプローチ】深刻化する物流 2024 年問題(配送コスト高騰、ドライバー不足)に直面する中で、安定供給と持続可能な物流インフラの提供を目指し、意思決定エンジン「SCGX(Supply Chain Design & Planning)」を活用し、輸送最適化(Transportation Optimization: TO)の取組みを実行しました。


【合意形成と成果】各エリアで属人化‧バラバラに行われていた配送ルートの設計プロセスを標準化。SCGX 上に国内配送網のデジタル双子(Digital Twin)を構築し、配送拠点や倉庫の変更に合わせたシミュレーションを実行。これにより、配送コスト、必要ルート数、人工(ドライバー数)、総配送距離などのトレードオフを客観データとして可視化。このデータに基づき、運送協力会社と極めて公平で質の高い合意形成とスピード感を持った意思決定を行い、「選ばれる荷主」としての強固なロジスティクス体制を整備しました。

 

4. パートナー様セッション (Partner Ecosystem Sessions)

Coupa の導入と日本企業の業務改革をフロントラインで支えるリーディングパートナー企業が登壇し、AI 時代の調達業務の⻘写真と組織づくりの論点を整理しました。本レポートでは特に顧客満足度の高かった 3 社についてご紹介。


■ アマゾンジャパン様: 間接材購買の再設計 〜EC 購買から見積購買までの包括的なコスト削減〜

Amazon ビジネス事業本部 営業統括本部⻑ 小野田氏

Amazon ビジネス事業本部 営業統括本部⻑ 小野田氏

アマゾンジャパン合同会社の小野田哲也氏は、「間接材購買の再設計 〜EC 購買から見積購買までの包括的なコスト削減〜」と題し、5,000 万点以上の豊富な法人向け品揃えを誇る Amazon ビジネスの活用法を提示。Coupa とのパンチアウト、Open Buy(複数サプライヤー横断比較)、e-Invoice 連携によって、調達要求から請求照合までをシームレスに自動化‧タッチレス化する価値を解説しました。さらに、一般的なネット通販の枠を超え、特注段ボール等の計画購買への対応や、大量一括購入時に専任担当者が取り扱いを調査‧見積提案を行う「Bulk Buy コンシェルジュ」のサポート体制を紹介。間接材における包括的なコスト削減と調達最適化を強力に後押しする最新の購買環境を示しました。

 

■ アクセンチュア様: 「調達業務、5 年後に誰がやっていますか。」AI 時代のプラットフォーム選定 ― 変わる論点と問うべき問い

アクセンチュア Supply Chain and Engineering プリンシパル・ディレクター 瀬尾氏

アクセンチュア Supply Chain and Engineering プリンシパル・ディレクター 瀬尾氏
 

アクセンチュア株式会社 プリンシパル‧ディレクターの瀬尾道一氏は、「調達業務、5 年後に誰がやっていますか ― AI 時代のプラットフォーム選定」と題し、AI 駆動型調達システムを 3 層構造で整理するフレームワークを提示。Layer 1(LLM への自然言語入力等のインターフェース)、Layer 2(AI エージェントが定型処理を行い、人間は例外‧承認判断に専念するアクター)、Layer 3(AI が正確に判断を下すためのマスタ‧契約データの蓄積基盤)で整理。今後は単に「UI が使いやすい」という基準から、「AI から呼び出せる構造データ(MCP サーバー等)を構造化して蓄積できるか」がプラットフォーム選定の新たな真基準になると語りました。

 

■ アビームコンサルティング様: AI 時代の調達力をどう高めるか
― AI Ready な調達業務設計と AI エージェントの現実解

アビームコンサルティング Enterprise Transformation Business Unit 馬場氏

アビームコンサルティング Enterprise Transformation Business Unit 馬場氏

アビームコンサルティング株式会社の馬場雅之氏は、調達部門の DX を加速する「AI-Ready な調達組織‧プロセスの再設計」をテーマに講演。個人の一時的な AI 利用(要約やメール作成など)に留まらず、組織として AI エージェントを業務プロセスに埋め込んで持続的なコスト削減やリスクコントロールの仕組みを作るためのロードマップ(成熟度モデルに沿ったステップ展開)を解説。NVIDIA やグローバルの最先端企業に学ぶ実践論を提示しました。

 

5. Coupa ソリューションセッション

Coupa からは、製品‧技術のエキスパートチームが登壇し、基調講演で示された「Coupa Compose」や「買収した最先端 AI テクノロジー」などの具体的な実装デモストレーションが披露されました。

 

■ 直接材購買の新たな時代: AI と調達プロセスの成熟度が、レジリエンスと成⻑をどう牽引するか

Coupa シニアソリューションアドバイザー 藤本和久

Coupa シニアソリューションアドバイザー 藤本和久

製造業において間接費より圧倒的に大きく、滞れば即座に工場停止などの操業損失を招く「直接材調達」に焦点を当て、AI と成熟度モデルがもたらすレジリエンスと成⻑のロードマップが提示されました。直接材調達は、事後対応(Stage 1)から、構造化(Stage 2)、協調‧連携(Stage 3)、そして予測‧自律を行うインテリジェント(Stage 4)へと成熟度を高める必要があります。Coupa の統合プラットフォームは、AI を活用した「Design-to-Pay」戦略により、サプライチェーンモデリング、戦略的ソーシング、外注やスケジュール調整等の取引先コラボレーションを共通データモデル(Spend Pulse)で統合。変化に即応する強靭なサプライチェーン構築と、確実な利益率の確保を同時に実現する先進的アプローチが示されました。

 

■ エージェントが主導する未来: Coupa Agent Studio で変革的な成果を創出する

Coupa プリンシパルテクニカルアーキテクト 太田剛人

Coupa プリンシパルテクニカルアーキテクト 太田剛人

「エージェントが主導する未来」と題し、新開発の「Navi Agent Studio」の実機デモンストレーションを実演。プログラミングの知識なしで「下請法チェック」や「社内規定に沿った発注‧請求確認」を行う AI エージェントを自然言語での対話だけでノーコード構築‧稼働させるプロセスをデモ。また買収した Tonkean 社の技術「Smart Intake & Orchestration(SIO)」を用いて、要求部門の従業員が Slack等からチャットで雑に相談した内容を AI が意図解釈し、適切なエージェントや承認フローへ自動でオーケストレーションする近未来の購買体験が公開されました。

 

■ 次世代ソーシング & 契約管理エージェント:

Coupa ソリューションアドバイザー 島田俊介

Coupa ソリューションアドバイザー 島田俊介

ソリューションアドバイザリー部の島田より、AI が実現する次世代ソーシングおよび契約管理(CLMA)の深掘りセッションが行われました。過去の見積実績と仕様書の要約から見積もりイベント(RFx)を数十秒でドラフトする「ソーシング作成エージェント」、サプライヤーから届いた多種多様なフォーマットの見積回答から、財務と技術条件のトレードオフを瞬時に比較表としてマトリックス化する「回答比較エージェント」、さらに契約書(静的ドキュメント)から commitment 条件や履行‧義務を自動抽出し、将来の spend leakage(支出漏れ)リスクを監視‧自動通知する契約管理エージェントのデモが披露され、ソーシングから契約までのタッチレス化の実態が実演されました。

 

■ カテゴリー戦略:

Coupa プリンシパルカスタマーアダプションマネジャー 唐沢綺

Coupa プリンシパルカスタマーアダプションマネジャー 唐沢綺

「何を買うか」ではなく「どう勝つか」を決める調達最上流の戦略プロセスとして、Cirtuo 社の買収により統合された「Coupa Category Strategy(CCS)」が紹介されました。Excel 等による手作業から脱却し、「ストラテジー‧ハイウェイ」に沿って、要件定義、内外分析、目標策定までをベストプラクティスに沿って標準化します。対話型 AI「カテゴリー‧コンサルタント‧エージェント」が専任コンサルタントのように伴走し、支出データと紐づけながら高品質な戦略と目標ドラフトを自動生成するデモを披露。同年 9 月の日本語化も発表され、対象カテゴリーの調達コスト平均 3〜8%削減、戦略策定時間50%削減という劇的な効果とともに、調達が経営の意思決定を支える組織へと進化する未来像が示されました。

 

■ AI を活用した請求管理:

Rossum 社 Chief Sales Officer Zach Low と Coupa シニアマネジャー 山田由香里

Rossum 社 Chief Sales Officer Zach Low と Coupa シニアマネジャー 山田由香里


Coupa シニアマネジャーの山田と、買収された Rossum 社の Chief Sales Officer である Zach Low が登壇。請求書全体の 55%に達する紙‧PDF の請求書処理を、ドメイン特化型 LLM である「T-LLM(Transactional LLM)」を搭載した Rossum の AI-OCR により、テンプレート設定不要であらゆる請求フォームから瞬時に 1 分未満でデータ抽出し、自動で三点照合仕訳へ連携するデモを披露。日本の「マスタートラスト信託銀行様」が導入 7 週間で手作業の 75%を削減、自動化率 87%を達成した事例や、国内大手保険会社が数週間で請求処理の完全自動化‧タッチレス化を 20%以上引き上げた日本国内での劇的な成果が実数データとともに発表されました。

 

6. 特別対談: AI が変える働き方の未来
〜ベテランの暗黙知消失の危機をどう乗り越えるか〜

イベントのグランドフィナーレとして、元パナソニックコネクト CEO(現オフィス樋口代表)の樋口泰行氏、一橋ビジネススクール特任教授の楠木建氏が登壇し、クロスリバー代表の越川慎司氏がモデレーターを務める特別対談「自律型 AI が変える働き方の未来 ―― ベテランの暗黙知消失の危機をどう乗り越えるか」が開催されました。

左からモデレーターの越川氏、一橋ビジネススクールの楠木氏、オフィス樋口の樋口氏

左からモデレーターの越川氏、一橋ビジネススクールの楠木氏、オフィス樋口の樋口氏

 

■ 『スキルのデフレ』とは?: 箇条書きの要約、報告書や契約書のひな形作成、財務データのグラフ化や要約といった、人間が時間をかけて習得してきた「定型的なスキル」は、AI という究極に優秀な奴隷の出現によって完全にコモディティ化し、急激なデフレ(価値の下落)を起こします。AI は、どれだけ念入りに動作しても、「過去のデータの平均値‧中央値(=高精度な凡庸)」しか出力しないからです。


■ 『センスのインフレ』とは?: これからの時代の真の競争優位は、中央値(凡庸)からの「乖離‧外れ値」にのみ存在し、そこを司るのが人間固有の『センス』です。センスとは、客観的な正解が事前に数式で定義できない複雑な状況(感情、タイミング、相手の性格、その場の文脈)を深く観察し、下す『価値判断』『人間関係の構築』『他者への共感』、そして何より『責任を背負い、最後はトップダウンで決めきる意思決定と熱量』そのものです。AI はどれほど賢くなっても、自ら責任を取る(=クビになる覚悟を持つ)ことはありません。この責任を引き受けるセンスこそがインフレ(価値の高騰)を起こします。
 

■ 組織の壁突破とリーダーシップ、明日へのエール: 管理部門や調達部門は、同じ部署の滞留年数が平均して⻑く(一般職の平均より 6.3 年⻑いとされる)、『AI に仕事が奪われるのではないか』という心理的抵抗(現状維持のインセンティブ)が働きやすい組織特性があります(815 社調査では調達部門の平均年齢は 53.7 歳)。この課題に対し、樋口氏は「コストセンター‧部署防衛の発想から脱却し、AI という強力な道具を徹底的に使いこなし、浮いたリソース(時間)をサプライヤーとの深い戦略的共創や、センスを養う『リベラルアーツ(自由の技能)』へ回すべき。ボトムアップで積み上げ、最後はトップダウンで決めきること、そしてノウハウを自分たちの組織(内製化)に蓄積することが、日本企業が勝ち筋を取り戻す鍵である」と力強いエールを送り、対談を締めくくりました。

 

7. 展示ブース‧ネットワーキングパーティ

本イベントでは、セッション会場に隣接した広大な展示エリアにおいて、KPMG コンサルティング様、アマゾンジャパン様をはじめ、アビームコンサルティング様、Deloitte 様、NRI 様、アクセンチュア様、VISA 様などの強力なスポンサーパートナー企業各社による、最新の支出管理ソリューションや実践デモを体験できる展示ブースが多数出展されました。

展示エリアの様子

展示エリアの様子

展示エリア内には特設ドリンクカウンターやドリンクコーナー、さらに各出展ブースを回ってスタンプを集めることで豪華景品がもらえる「スタンプラリー」など、来場者が楽しみながら学びを深められる多様な仕掛けが用意され、大いに賑わいを見せました。また、セッション終了後のアスピーカー(Ask
the Speaker)コーナーには、登壇者へ直接質問‧対話を行うために非常に多くの来場者が詰めかけ、白熱した議論が継続して交わされました。

夕方 19 時 15 分からは、隣接する展示会場特設エリアにて「ネットワーキングパーティ(懇親会)」が華やかに開催されました。同じ調達‧財務の変革課題を共有する来場者同士、そして Coupa やパートナー各社のエキスパートが一堂に会し、冷たいお飲み物やビール、特製の軽食が振る舞われる中、「繋がりが生み出す集合知(ネットワーク効果)」を現実のコミュニティとして体感する活気ある情報交換の場となりました。

 

ネットワーキングパーティーの様子

ネットワーキングパーティーの様子

 

8. 最後に 〜来年度の Inspire World Tour Tokyo について

既に米国では来年度の Inspire の日程が確定しました。以下サイトにある通り、2027 年 5 月 17〜20 日となります。
https://inspire.coupa.com/
 

日本では詳細はこれから詰めていくことになりますが、来年も今年と同様、夏頃にまた実施予定です。
以下サイトから「通知登録」を頂けますと、最新情報をお届けいたします。
https://event.coupa.co.jp/


来年も皆さまとお会いできることを楽しみにしています!

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