Coupaの調達 (ソーシング)機能や特徴について実際の操作画面を通して見てみたい方や、資料を見る時間や打ち合わせの時間を作れないが、時間が空いた時にオンデマンド形式でデモを見てみたい方向けに、無料で視聴できる調達(ソーシング)操作のデモ動画をご用意しました。是非、ご視聴ください。
今すぐ視聴世界で最も持続可能性の高い100社に選出
積水化学は、セキスイハイムのブランドで知られる住宅カンパニー、環境・ライフカンパニー、高機能プラスチックスカンパニーによる3事業を軸にグローバルにビジネスを展開している。我が国を代表する総合化学メーカーであるとともに、「世界で最も持続可能性の高い企業100社」に5年連続7回選出されるなど、優れたESG経営を実践する企業としても広く認知されている。同社 デジタル変革推進部 ビジネスプロセス変革グループ デジタルソリューション推進室長 部長の高原徹氏は次のように話す。
「積水化学では、ESG経営を中心に据えながら、2030年にグループ売上2兆円・営業利益率10%を達成するという長期ビジョンを発表しました。この『Vision 2030』では、常にイノベーションと社会への貢献を追求し、健全に成長を持続させていくことが掲げられています。予測の難しい不確実な世界において収益力を高め、将来に向けた成長投資を着実に進めるためには、デジタル変革(DX)を通じた生産性の向上・業務の効率化が欠かせません」
高原氏が所属するデジタル変革推進部は、代表取締役社長である加藤敬太氏のもと2020年に設立された。その背景には、社会と顧客からの要求の高度化、市場環境の変化、労働力の低下などに対する強い危機意識があったという。グローバルでの成長戦略を加速させるためには、共通インフラの整備も重要になる。
「デジタル変革推進部のミッションのひとつに新しい基幹業務システム(ERP)の導入があります。グローバルスタンダードのERPパッケージを導入して、世界中のグループ企業の経営を一元的に把握する仕組みを確立します。2020年には、グローバル共通プラットフォーム化の一環としてCoupaのBSMソリューションを導入し、購買におけるデジタル変革(購買DX)への取り組みをスタートさせました」(高原氏)
デジタル変革推進部がCoupa導入をリード
CoupaのBusiness Spend Management(BSM)ソリューションは、企業のあらゆる支出とこれに関連するプロセスの管理・可視化・自動化を通じて、調達・購買から経費管理、請求書発行、支払い、サプライヤー管理の生産性向上とコンプライアンス強化を実現する。
「デジタル変革推進部では、グローバル経営基盤強化、購買、営業・マーケティング、リモートワークの4つをDXの重点テーマに設定しました。先行して『購買DX』に着手したのは、ガバナンス、業務効率化やコスト面で最も大きな効果が期待できる領域であり、効果を示すことで関係者のモチベーションを高められると考えたからです」(高原氏)
高原氏は、グローバルロジスティクスとサプライチェーンのスペシャリストであり、海外事業会社におけるERP導入の指揮を執った経験もある。間接材購買改革の責任者としてデジタル変革推進部に着任したのは2020年である。
「直接材の領域は自動発注の仕組みが整備され、世界中の在庫状況をリアルタイムで可視化するチャレンジが始まっています。これに対して、間接材の領域はシステム化が進んでおらず、部門ごとに予算が割り当てられ、何をどれだけどこから買うかは部門の判断に任されていたため、ガバナンスも十分な状態ではなかったと思います。Coupaによる間接材購買の標準化・統合化で大きな効果が出せることは明らかでした」と高原氏は振り返る。
将来的に5-10%のコスト削減を狙い、戦略的なDX投資に活用
積水化学では、国内だけで年間数百億円規模の間接材を購買しており、工場消耗品や副資材といった物品、人材派遣や業務委託などの役務もこれに含まれる。一般に、原材料など生産に関わる購買品を「直接材」、それ以外を「間接材」と呼ぶことが多いが、高原氏はよりシンプルな区分を提案している。
「自動発注の対象になる『在庫管理品以外の購買品』を間接材と定義し、物品、役務、ユーティリティまですべてCoupa上で購買することを原則としました。モデル工場とサプライヤー約50社を選定し、Coupaによる間接材購買の実証を開始したのは2021年初頭です。まず『カタログ購買』から着手し、続いて購買データの分析を通じた『比較購買』を導入する計画です。最終的には間接材の仕様・品番を全社で統一し、間接材支出の5~10%を削減したいと考えています」と高原氏は力を込める。
モデル工場におけるCoupaによる「カタログ購買」の実証は1年に及んだ。その結果、ガバナンス、業務効率化、コストのすべての面で大きなメリットが得られることが確認された。
「購買セクションはあらかじめ決められた価格で発注できるため、調達ごとに複数の取引先から見積を取得したり、価格交渉を行う必要がなくなりました。60~75分を要していた伝票を起票するための工数を、20%程度削減できたことも見逃せない効果です。Coupaによって購買業務を標準化・簡易化することで、2030年にグループの事業規模が現状の2倍になったとしても、間接材購買の体制は現状を維持できるものと期待しています」(高原氏)
購買のプロセス、発注・支出の承認プロセスはすべてCoupa上で可視化される。こうして、不適切な取引ができない仕組みの上で安心して購買業務を行える環境も整えられた。
「購買の集中化と購買データの統合管理は、取引先・サプライヤーとの価格交渉に重要な役割を果たします。価格とサプライヤーの評価を、本社・コーポレート部門で一元的に行う準備を進めています。3年間で間接材支出5-10%削減を達成し、これを新たなDXへの投資に活用していく計画です」(高原氏)
また取引の電子化は参加するサプライヤーにとっても有益な仕組みだ。請求書など紙の印刷、送付といった作業の削減や発注、請求プロセスの透明性確保などメリットも多い。
3年間で間接材支出5-10%削減を達成し、これを新たなDXへの投資に活用していく計画です デジタル変革推進部 ビジネスプロセス変革グループ デジタルソリューション推進室長 部長 高原 徹 氏
バイヤーの意識と行動を変えた「購買DX」
2022年8月時点で積水化学のCoupaユーザーは1,000名、グローバル展開が完了すると3,500名に達するという。デジタル変革推進部では、2024年までに国内50拠点、2030年までにグローバル対象拠点へのCoupa導入を完了させる計画だ。また今後は間接材購買の管理・統制・購買力の強化に向けた集中購買組織の設置についても検討を進めている。
「ここまで、およそ1年間を通して『購買DX』の活動を行ってきましたが、現場の方々がこれまで以上に『会社の利益を重視した購買』に変わりつつあることを実感しています。購買データの分析でもそれを裏づける傾向が読み取れます。Coupaを活用した『購買DX』への取り組みは、バイヤーの意識改革にも結びついているのです」と高原氏は笑顔を見せる。
Coupaの選定に際しては実績ある3製品を比較検討したが、SaaSならではの進化のスピード、アーキテクチャーの先進性、ERP・会計システムとの連携のしやすさが採用の決め手になったという。「グローバルスタンダートという選択が重要」と話しつつ高原氏は次のように結んだ。
「積水化学がグローバルでビジネスを成長させていくためには、世界のライバルを上回る水準でデジタルテクノロジーを活用できなければなりません。ERPとCoupaは、グローバル共通プラットフォームとしてシームレスに連携しながら、スピーディで効率的な業務推進を可能にしてくれるはずです。私たちは、SaaSとして進化するCoupaの機能をいち早く活用しながらビジネスの成果に結びつけていきます。Coupaには、私たちのグローバルでの調達力強化に貢献してもらえることを期待します」