資材や物品の購入方法には、集中購買と分散購買の2種類があります。集中購買と分散購買のそれぞれ特徴や違いを理解し、状況に応じて発注方法を使い分けることが大切です。集中購買と分散購買の違いを知り、攻めの購買戦略を実現していくための手法について解説します。
資材購入手法を知る
企業の購買方法には、「集中購買」と「分散購買」の2種類があります。ここでは、それぞれの特徴や違いについて詳しく解説します。
景気が低迷する中、購買調達部門が対応すべき5つの優先事項とは?購買調達の課題を解決し購買DXを実現するために企業は何から取り組むべきか、本レポートを活用して購買効率化を進めましょう。
ダウンロード集中購買とは
集中購買とは、社内の一箇所の窓口が全社の購買管理を担う購買方法で、全部署・全事業所の購買を取りまとめて発注します。特定の取引先に発注を集中できるため、一回あたりの購入量を増やし、購入時の単価について価格交渉できる点が特徴です。
また、窓口が一本化されることで支出が透明化されやすく、「どこでどのように資材や備品が購入されているのかわからない」というリスクを軽減できます。
分散購買とは
分散購買とは、社内の各部門や事業所の購買部門がそれぞれのタイミングで異なる取引先から購買する方法を指します。購買の際は、各部門が独自に発注したり、事業所内に立ち上げられた購買部門が発注することもあり、発注・支払処理が容易であるという特徴があります。
また、急ぎで購入しなければならなくなった資材があっても比較的対応しやすい点がメリットの一つです。集中購買は全社の要望を取りまとめて発注するため発注タイミングが限られますが、分散購買なら融通が利きやすいでしょう。
集中購買と分散購買の違いについて
集中購買と分散購買の最も大きな違いは、「発注窓口の数」です。前述の通り、集中購買は全社で統一された発注窓口があり、すべての発注が一つの窓口を通して行われます。一方の分散購買は、各部門や事業所がそれぞれ窓口を持ち、独自に発注を行います。
集中購買について解説
集中購買のメリットとデメリットについて解説していきます。
メリット
集中購買のメリットは、発注の窓口を一本化することで、社内全体の発注を集約し、統合的に管理しやすい点にあります。各部門・事業所がどのような資材を発注しているのか把握しやすく、支出管理も容易になります。
また、取引先が絞り込まれるため、発注コストを削減しやすい点もメリットです。卸売企業や問屋では、発注量が多いほどディスカウントを適用し、購入単価を下げるケースが多々あります。「一回の発注量が○個以上の場合は一個あたり△%割引」などの取り決めが代表的な例でしょう。
この手法を取り入れれば購入単価を下げることができ、全社的な発注コストを大幅に下げられる可能性があります。
デメリット
集中購買のデメリットとしては、発注の柔軟性が低いことが挙げられます。全社から発注依頼を受けてから発注をかけるため、急遽必要になった資材や備品を発注することが難しく、各部署・事業所からの細かい要望に対応できないケースが考えられます。
また、分散購買であればそれぞれの部署・事業所の発注担当者が個別に発注しますが、集中購買は一度全社からの発注を集約する必要があるので、発注情報の管理や発注手続きが煩雑になる可能性もあります。
分散購買について解説
分散購買のメリットとデメリットについて解説していきます。
メリット
分散購買のメリットは、柔軟な発注ができる点です。集中購買は緊急の発注に対応するのが難しいのですが、分散購買なら短納期による発注に対応しやすいと言えます。また、各部門・事業所が独自に関係を築いている取引先へ発注するため、取引先との関係次第では短納期での納入などに対応してもらえるなど、融通を利かせてもらえる場合もあります。
加えて、多くのサプライヤーと取引する分散購買は違ったサプライヤーと幅広く関係構築ができ、何か問題が起きた際には早急に違うサプライヤーに発注ができる点もメリットと言えます。集中購買は少数の取引先に集約して発注するため、より多くの取引先と関係構築を図ることは難しいと考えられますが、分散購買ならそれぞれの部署・事業所が発注を通して取引先と積極的にコミュニケーションを取り、関係性を構築することができます。
デメリット
分散購買のデメリットは、一回あたりの発注数量が少なくなりやすいため購入単価を下げにくい点にあります。
例として、全社的に発注を集約すれば100個単位で発注できる資材であっても、特定の部門に限れば数個程度しか必要がない場合はよくあります。企業規模が大きくなればなるほどこの傾向は顕著になり、集中購買に比べて発注コストが高くなりやすいのが難点です。
集中購買と分散購買でそれぞれ向いている資材と適切な購買方法
集中購買と分散購買では、それぞれの購買方法に適した資材や備品が異なります。ここでは、それぞれに適した資材の種類と購買方法について解説します。
集中購買
集中購買に向いている資材には、高額資材や全社的に共通している資材などが挙げられます。高額資材の窓口を集約して少しでも安価に購入すれば、発注コストの圧縮につながります。
また、全社で共通している資材は一つの窓口で取りまとめると発注単位が大きくなり、割引の交渉に応じてもらえる可能性が高くなります。輸入資材についてもオペレーションの効率化やコスト圧縮の観点から集中購買で進めた方が良いと言えます。
分散購買
分散購買に向いている資材は、低額資材や発注個数の限られている特注資材などです。低額資材は、分散購買によって割引を受けられなくても、社内全体の支出への影響が比較的小さいためです。
特注資材は発注個数が少なかったり、オーダーメイドであるためにそもそも値引きに応じてもらえなかったりするケースがあるため、分散購買を採用するメリットのほうが大きいと考えられます。
集中購買と分散購買を理解し、適切な購買方法を選択(業務効率化)
集中購買と分散購買を理解し、購入する資材に応じて適切な購買方法を選択することは、社内業務の効率化と発注コスト削減に直結します。
前述の通り、資材の種類や性質によってどちらの購買方法を選択すべきかは異なります。状況に応じて最適な購買方法を振り分けることで、分散購買による発注処理の負担軽減というメリットと、集中購買による発注コスト削減というメリットを両立させることが可能です。とはいえ、集中購買と分散購買を個別に管理すると手間がかかり、かえって業務が煩雑になったり、管理が疎かになって過剰在庫や廃棄リスクを高めたりする恐れもあります。
購買管理システムの導入や組織編成・発注ルールの見直しも含めて、購買業務を効率化するための改革も視野に入れた取り組みが求められます。購買における業務改革で検討すべきポイントはなんでしょうか?
詳しくはこちらの記事 “購買改革の課題とは?改革で検討すべき4つのポイント“ をご覧ください。
購買管理システムの導入で購買調達の最適化を実現
購買業務の効率化を実現するためには、購買業務を統合的に管理できる購買管理システムの導入がおすすめです。ここでは、購買管理システムのメリットや、導入によって何が実現できるかを解説します。
購買管理システムを導入するメリット
購買管理システムを導入することで、各部門・事業所の煩雑な発注情報を集約し、統合的に管理できます。また、発注先の管理機能によって最も安価に仕入れられる資材を簡単に比較したり、消耗品などの副資材を定期的に自動発注したりすることが可能です。
購買管理システムの導入で実現できること
購買管理システムを導入することによって、集中購買を行うべき資材については全社の発注窓口で取りまとめて発注し、分散購買で問題がない資材については各部門・事業所が個々に発注する体制の構築が可能となります。
従来のアナログな体制下では、集中購買を行うために各部門・事業所が発注書を記入して窓口に提出するなどの面倒な手続きが必要でしたが、購買管理システムを導入すると、システム上から必要数量を入力して簡単に発注依頼がかけられます。
まとめ
集中購買と分散購買にはそれぞれメリットとデメリットがあるため、購入する資材に応じて適切な購入方法を選ぶことが重要です。双方をうまく使い分けることで、業務効率化とコスト削減を両立できます。
CoupaのBSMプラットフォームはソーシングから発注、サプライヤーからの請求に対しての支払まで、ひとつの統合されたプラットフォーム上で実現し、購買業務の効率化を支援します。
Coupaの購買管理ソリューションは購買部門だけでなく、全従業員がプライベートショッピングするような手軽さで社内の発注業務に携わり、同時に支出の可視化が実現することで隠れていたコスト削減ポイントを見つけだし、コストの見直しが進み最適化が可能になります。
集中購買と分散購買を使い分けていく上で、購買管理システムの導入による購買業務改革も視野に入れながら、社内の業務プロセスや体制の変革を推進することで攻めの購買戦略を実現していけると言えます。
CoupaのBSMプラットフォームを導入したお客様で、購買調達の可視化により業務プロセスが標準化し、属人化した業務プロセスや独断的な発注が減ることで社内統制やコスト削減につながりました。また、分かりやすいインターフェースとシンプルな操作性で発注業務の効率化という効果も生まれています。